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No.176話:就業規則が「絵に描いた餅」になるとき。

以前にもこのコラムで申し上げましたが、就業規則は労務管理の根幹をなすものであり、就業規則の内容が不十分であれば労務管理も不十分なものとなります。そういう意味で就業規則を職場実態に合わせて、最新の法令に準拠した内容を作り込むことは労務管理において極めて重要です。

昨今は冒頭の考え方が浸透してきているのか、おかげさまで就業規則の内容充実に力を入れる会社が増えてきています。しかしながら、時間を掛けて作成した就業規則も「絵に描いた餅」の状態になることがあります。すなわち、従業員の労務管理は就業規則に基づいて行われるという、至って簡単なことに意外とできていない会社が多いのです。

例えば、休職規程において「業務以外の傷病のための欠勤が1ヶ月続いた場合に会社は従業員に休職を命じることがある。」としているにもかかわらず、欠勤が1ヶ月に及んだときに休職発令をしていないケースです。確かに「欠勤が1ヶ月に及んだ場合、自動的に休職とする。」であれば休職発令は必要ありません。しかし、「休職を命じることがある。」としている場合、休職発令がなければ次条に定める休職期間の始期をいつからカウントすればいいのかがわからなくなります。当然、休職期間満了日も「いつだった?」ということになりかねないわけですし、労働者にしてみれば発令もされていない休職期間の満了を突然通知されても「何、それ?」ということになります。さすがに、これは労務管理上、好ましくありません。

就業規則に則った労務管理上の手続きを怠ると、労働者とトラブルが生じた場合に会社側は圧倒的に不利になります。前述の休職期間満了による退職扱いの場合であれば、労働者側から「そもそも、私は休職発令を受けていない。」と言われれば、休職自体が機能していないことになり「休職期間満了」を理由とした退職も無効になる可能性が高いからです。

残念ながらトラブルの相談に際してしばしば感じることは、「就業規則の内容は極めてよくできているのに、その通りに運用されていないなあ。」ということです。例えるならば、「最新式の工作機械を購入し、これで大丈夫だろうと説明書も読まずに組み立てて実際に使おうとしたが作動しない。」という状態です。組み立てる順番や使うべきネジや金具を間違えてしまうと、精密な機械ほど全くと言っていいほど動かなくなります。

就業規則も同じです。最新の法令に則し、かつ近年の労務管理における重要な要点を抑えた内容であったとしても、記述されているルールに則って労務管理が行われていなければ会社と労働者にとって有効に機能することはありません。「仏作って魂入れず」という状態です。人事担当者は何よりも就業規則の内容を熟知して、記述されている通りに運用すること心掛けて欲しいものです。

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