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No.187話:「雇用流動化」でも人材育成は積極的に続けること。

最近、経営者の方からの意見としていただくのが「従業員に対して費用をかけてスキルアップを目的とした研修をしても、他社に転職されてしまう可能性がある。費用が無駄になりかねないので今後は研修の機会を縮小したい。」というものです。

以前のこのコラムでもお伝えしましたが、確かに近年において若年層を中心に「雇用の流動化」が進展しています。厚生労働省が公表した令和2年3月卒業者の「新規学卒就業者」の3年以内離職率は高卒者で37.0%、大卒者で32.3%となっています。すなわち、学校を卒業して就職しても3割の人材が退職してしまうということです。

これは何も「賃金が低い」「福利厚生が充実していない」「休日が少ない」といったものに限らず、「人間関係」や「仕事のミスマッチ(やりたい仕事ではなかった。)」という理由によるものも含まれています。また、「いろんな会社で違う仕事を経験してみたい。」という前向きな理由もありますから、「雇用の流動化」が進展することをネガティブにとらえる必要はありません。

とはいうものの企業サイドとしては、大学を卒業した若者を費用と時間を掛けて研修やOJTを実施し、一人前の従業員として育成し「さあ、これから会社に実績を残して貢献してもらおう」と思った矢先に、「新しい仕事に挑戦してみたい」と笑顔で退職を申し出られても受け入れがたいというお気持ちがあることはよく理解できます。

当然、冒頭の経営者のご意見のようにスキルアップに向けた従業員研修を今まで通りに続けることを躊躇すると思います。また、「新卒採用を見直して即戦力の人材を中途採用する方が、研修を実施する費用が削減出来て効率的ではないのか」と方針転換する会社も増えてきているのも事実です。

しかしながら、労務コンサルタントとしてあえて新卒採用と従業員研修を継続することをお勧めします。何故ならば研修やOJTといった従業員教育を続けることは、企業全体の人材力、組織力を向上させることに大きく寄与することは間違いないからです。たとえ教育指導を施した人材が数年の内に退職したとしても、残った人材は会社に実績を残して貢献してくれるはずです。教育指導を続ける社風は必ず会社の財産となります。

また、退職した人材も自身を育ててくれた会社に対して「あの会社で培った知識やスキルは今の自分にとって財産だ。あの会社は従業員教育が充実して素晴らしく良い会社だ。」と感じているものです。そのことは転職先などで「取引するならば、私が以前在職していた会社は従業員教育がしっかりしていて最適ですよ。」という新しいつながりになるかも知れません。また、転職市場において高評価につながり求職者の増加というプラスの影響に現れるかもしれません。

「雇用の流動化」は避けようのない時代の流れです。しかし、従業員教育は会社にとってメリットの大きい不変の取り組みと考えますから何卒継続するようにしてください。

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