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No.188話:避けてはならない争いごとは受けて立つことです。
2024.01.31
会社の事業運営において、不必要なトラブルや争いごとを極力回避することは経営者が何よりも心掛けておくべきことです。労務管理においては法律で厚く保護されている労働者が相手となりますから、とりわけ慎重に対応することが求められます。
その中でも「解雇」については従業員の生活をおびやかすことになりますから、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない」場合は、従業員は裁判も辞さない覚悟で会社と争ってきます。このようなことが予見されるため、
我々コンサルタントも「解雇」については可能な限り選択せず、できるだけ話し合いを通じて労働者からの自主的な「退職」を導き出す解決策を助言しています。
同様に「賃金を引き下げる」「賞与の支給を取りやめる」「退職金制度を廃止する」等の従業員にとって「不利益変更」となる事案も、説明会や個別面談を通じて可能な限り従業員との「合意形成」を行うことも、不必要な紛争を回避して解決するために必要な対応となります。
しかしながら、問題は従業員との争いを避けること自体が目的となって、解決に向けて何ら行動を起こさない会社が増えてきていることです。例えば「職場でのパワーハラスメントの相談をしているにも関わらず、会社が実態調査も行わず加害従業員に注意も処分もしない。」「金品を横領している等、『解雇』相当の行為があることを会社は知っていながら、解雇処分を行わない。」といったことです。
「事実確認は面倒なことだ。実際に事実確認をしても、かえって加害従業員から訴えられるかもしれない。問題が大きくなるから放置しておこう。」「金品の横領について警察に被害届を出せば、会社の信用に傷がつく。解雇通告しても争ってきた場合に面倒なことになる。」という理由でしょうか。
以上のような「事なかれ主義」「見て見ぬふり」などの会社の対応は、職場で発生している問題に対しては何の解決になりません。一方で、その会社、職場で真面目に業務に従事している従業員の経営者に対する大きな「不信」を生み出すことになりかねません。これは会社にとって大きな損失につながります。
経営者として不必要な紛争を避ける姿勢は大切ですが、「ここは戦うべき」というときに紛争を避けるようでは会社や従業員の将来にとってマイナスだと思います。
「争うものなら争ってこい。とことん最後まで受けて立ってやる。」というように、会社を守るためにも時には敢えて従業員との争いを覚悟して臨んでいくことも必要ではないでしょうか。
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