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No.191話:「退職」は必ず労働者自身に決めさせること。

会社と労働者とのトラブルで多いものの一つに「退職時の行き違い」というものがあります。「退職時の行き違い」と言いますと少々、漠然としていますが具体的には大きく3つ、「退職日」「退職の理由」「退職時の条件」について会社と労働者の主張が異なることなどがあげられます。また、この3つ以外には、そもそも「退職」なのか「解雇」なのかで労使間で争いが生じる場合もあります。

まず「退職日」については、双方の主張する日にちが違うというものですが、それ以前に退職日そのものが双方「よくわからない。」と相談してくるケースもあります。例えば労働者が「退職をしたい。できれば残っている年次有給休暇をすべて消化して辞めたい。」と具体的な退職日を指定しない場合です。

労働者にしてみれば、本人が年次有給休暇の残日数を正確に把握していなければ、退職日を確定できないのですからこのような退職の申出にならざるを得ないのでしょう。一方、会社も退職の受付けだけで済ませて、年次有給休暇の残日数をどのように消化してもらうかを労働者に確認せずに、おおむねの退職日を想定するにとどまってしまうために、このような退職日が「よくわからない」あるいは「労使間でずれが生じる」事態を招いているようです。

「退職の理由」に労使双方に相違が生まれる場合について事例として多いものは転勤時のケースです。労働者が会社から転宅を伴う異動を命じられたものの、病身の家族の介護といった事情でその人事異動を拒絶せざるを得ず、話し合いの結果で止む無く退職を選択するというものです。労働者としては「自主退職」とはいえ、会社からの退職勧奨が介在していれば「会社都合」ではないかと思いたくなるのも当然で、このような感情的なしこりが残ることでトラブルが生じることになります。このトラブルがこじれると「退職」か「解雇」かで更なる紛争に発展してしまうこともあります。

「退職時の条件」に伴うトラブルは「約束した。」「約束していない。」という単純なものが多いようです。例えば退職時において残った年次有給休暇を労働者は「全日、満額で買い取ってくれる。」ものと思っていたのに対して、会社側は「年次有給休暇の残日数は買い取る義務はない。だから満額で買い取ることはない。」と一部しか支払わないというケースです。

もうお気づきと思いますが、いずれのケースも会社と労働者が「退職」に際して、「退職日」「退職の理由」「退職時の条件」について、しっかりと話し合わず確認を取っていなかったことに原因があります。雇用契約はその成立の際の労働条件等の確認だけではなく、解除するときにもトラブルに発展して会社も労働者も不愉快な思いをしないために、丁寧な話し合いと書面などでの確認が大切です。

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