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No.192話:「売り言葉に買い言葉」では経営者とは言えません。

「社歴の長いベテラン従業員と些細な仕事のことで言い合いになり、『それなら会社を辞めます。』と言ってきたので、つい『どうぞ好きにしてくれ。』と答えてしまった。会社には必要不可欠な人材なので、後で『しまった!』と思ったが時すでに遅しで次の日に退職届を出して退職してしまった。職場の仕事が停滞して困っている。」このようなご相談を先日、いただきました。まさに「売り言葉に買い言葉」というものです。

他人が聞くと「他愛のない話だ。」と一笑に付してしまいますが、実際にそのような場面に自分が遭遇すると「売り言葉に買い言葉」をしてしまうものです。「私は従業員と良好な関係を築いているから大丈夫。」「どの従業員も長年、同僚や経営者と言い争うこともなく働いてくれているからあり得ない。」とのお話を経営者から伺いますが、後年になって「実は・・・。」と従業員と言い争いになったというご相談をいただくことがあります。

経営者も従業員も一人の人間ですから、「いつもは穏やかで感情的にならない。怒ることもない。」と「自分の感情をコントロールできる。」と自信を持っていても、そのときの体調やストレスの状態によってはつい気持ちが高ぶって激昂することは十分あり得ます。すなわち、どんな人であっても「売り言葉に買い言葉」をやってしまう可能性があるということです。

問題は「売り言葉に買い言葉」という喧嘩の後始末を経営者として、「できるか」ということなのです。例えば従業員が後日「先日は社長に対して失礼なことを言ってしまい、申し訳ございませんでした。そのときに『会社を辞めます。』と言いましたが撤回させてください。」と謝罪してきたときに、「いやー、こちらこそ頭に血が上って申し訳ない。当然、今後もわが社のために一生懸命働いてください。」と気持ちよく受け入れることです。

また、言い争いになった従業員が本心では「あー、とんでもないことを社長に言ってしまった。許して欲しいが言ってしまった以上は覚悟を決めて退職届を出して、潔く退職しようかな。」と謝罪を言い出せずに悩んでいることもあり得ます。そんなときは経営者の方から「先日は言い過ぎた。申し訳ない。許して欲しい。退職せずにわが社で引き続き頑張って欲しい。」とわざと自身が折れることをしていいと思います。

この時に「従業員が言い出したのに、なんでこちらが誤らないといけないのか。」との気持ちもありますが、「堪え難きを堪えて」経営者が先に折れることで従業員が「とんでもない。こちらが悪いので私の方こそ誤ります。どうか引き続き働かせてください。」と関係修復に動いてくれやすくなるものです。

最も好ましくないことは「売り言葉に買い言葉」の稚拙な労使間の喧嘩を、経営者が関係修復せずにそのままにすることです。大切な従業員を失ってからでは遅きに失します。喧嘩の後始末ができることも経営者にとって大切な仕事ですよ。

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