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No.196話:「新卒採用者は3年以内に3割が離職する。」その意味とは。

毎年10月に厚生労働省から「新規学卒就職者の離職状況」が公表されています。令和5年10月に発表された数値では、令和2年3月に卒業した新規高卒就職者の離職率は37.0%、新規大卒就職者の離職率は32.3%となっており、いわゆる「3年3割の離職率」という結果でした。

使用者としては「学卒で新規に採用しても3年以内に3割も辞めるんだ。最近の若い人は会社に就職してもすぐに辞めてしまうんだ。」と「驚く結果」ということになるのですが、実はこの「3年3割」という数値は「バブル時代」前からの統計を見てもそれほど変化はありません。(もちろん、多少の上下推移はありますが。)

言い換えれば「3年3割の離職率」は「不変の法則」であり、驚くに値しないということになります。「新規採用しても学卒者は3年以内に3割は辞めるもの。」と踏まえて、採用計画を立てれば職場での「人員不足」に悩むことはないという理屈が立ちます。(実際には、それほど単純ではありませんが。)

一方でこの「3年3割の離職率」の中身を分析することが重要となります。冒頭の通り「高卒」の離職率が37.0%であるのに対して、「大卒」の離職率は32.3%ですから「高卒」の離職率の方が少し高いということになります。また、企業の規模別での「大卒」の離職率は「5人から29人」の40.6%に対して、「100人から499人」では32.9%となっており、規模の小さい企業ほど離職率が高いということになります。そして、この数値もここ数年は大きく変動がないということです。

これらの統計数値を前にして経営者としては、自社の実績と比べてどの程度であるかを認識することが重要であると思います。「5人から29人」の規模の会社であれば、3年以内の新規大学卒者の離職率が仮に30%であれば、同規模の水準よりは優秀であり「3年3割の離職率」の「法則通り」という認識に立てると思います。一方で3年以内の新規大学卒者の離職率が50%であれば、同規模の水準よりは離職率が高く「3年3割の離職率」の法則から大きく乖離しているということになります。

前者の企業は客観的に見れば確かに「優秀」ではありますが、「離職する者が概ね3割は存在する」事実に変わりはありません。従いまして、現状に安穏とせず「いかにすれば離職者をゼロにできるか。」について、企業内で検討し対策を講じる必要があります。

一方で後者の企業においては、「3年以内離職率」が通常よりも高い状況にあることは「良くない」ことになりますから、まずもって「なぜ、そのような結果となっているのか。」の原因を探っていく必要があります。そして、究明できた原因を改善、解消するための手段を講じる必要があります。

いずれにしても、企業サイドとしては折角採用した人材には「できるだけ永く自社で働いて欲しい。」と考えて当然です。「3年3割の離職率」を「仕方のないもの」と諦めずに果敢に定着率向上に向けて取り組んで欲しいと思います。

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