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No.198話:その手当を支給する目的をわかっていますか。

仕事柄、クライアントの賃金規程を拝見することがあります。基本給と通勤手当だけのシンプルな会社もあれば、多種多様な手当を支給している会社もあります。聞いたことのない名称の手当もあり、それはそれで特長があり「面白いなあ。」といつも興味深く拝見しております。

手当の名称は見ればすぐに何を目的としたものかがわかるものがほとんどですが、中には聞かなければ支給目的がわからないものもあります。そこで「この手当はどういうものでしょうか。」と人事担当者に伺うと、通常は支給目的や支給対象者を説明していただけます。しかし、稀に(支給対象は明確でも)支給目的については「なんのためでしょうねえ」と説明できない手当があります。

手当の支給目的は賃金規程に明記されていれば、答えられないことなどはないはずです。答えられないということは、そもそも賃金規程に支給目的が明記されていないことともに、支給目的を知っている担当者がいないということではないかと思います。

恐らくは手当の設計当初は確認されていたと思うのですが、時間が経過し担当者が変わってしまうなどの理由で支給目的が伝達されず、わからなくなってしまったということということではないでしょうか。

しかしながら、支給目的がわからないままであることは労務管理上、やはりよろしくありません。支給の目的、それに基づく対象者はどの職種なのか、どの職務なのかは確認して賃金規程に記載されていることが本来のあるべき姿です。(担当者が変わっても支給目的等がわかるようにするために賃金規程はあるのですから。)

一方、支給目的が判明したとしても他の手当と目的が重複している場合もあります。すなわち、「この手当と支給目的が一緒だ。別々に手当を分ける必要があるのかな。」というものです。このような場合は、目的が同じであれば手当を統合してしまう方が良いと思います。

また、会社の事業内容の変化や社会環境といった時代の変遷により支給目的から見て、すでに役割を終えた手当もあります。例えば事務職の従業員が要請に応じて製造の支援にはいることもあることから、「業務手当」という名称の手当を支給していたが、数年前に製造の外注化により製造支援がなくなったにもかかわらず、現在に至っても「業務手当」を事務職に支給していたというものです。本来の目的が失われているのですから、この手当については廃止しても問題はないと思います。

では、支給目的がわからない、あるいは支給目的が失われていることがわかっているにもかかわらず、これらの手当が残ってしまっているのでしょうか。恐らくは手当を統合したり廃止したりすることで、現在支給を受けている従業員にとって不利益が生じることを懸念しているからではないでしょうか。

確かに「手当の統廃合」によって、一部の従業員の賃金総額が減少するといった「不利益変更」は望ましくありません。とは言いながら支給目的が失われたり、重複しているような手当を放置することは賃金制度上、あってはならないことです。従いまして、可能な限り従業員のとっての「不利益変更」に配慮しつつ、あるべき姿に賃金、手当を整理するというバランスの取れた対応が望ましいと思います。

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