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No.199話:休職も人事発令であることを忘れずに。

先日、あるクライアントから「間もなく、従業員の休職期間が満了するのですが、復職が難しいので退職扱いにしてよいのでしょうか。」という、いわゆる「よくある」ご相談をいただきました。そこで、「いつが満了日になりますか。」と伺うと「確か今月末だと思うのですが。」という回答だったので、「確かって、何日付で休職を発令したのですか。」と再度お尋ねすると「さあ、いつだったでしょうか。分からないのですよ。」という心許ないお返事。

結論としては、この会社では当該従業員に対して「休職発令」を行っていなかったようで、休職開始日が不確定な状態で「いつの間にか」休職状態になっていたようです。これではさすがに休職期間の満了日を特定することができず、従業員に伝えることもできません。実はこのようなケースは良くある話なのです。

以前もお話しましたが、「休職」制度は事業所の任意の制度です。病気やけがで労働契約に基づく労務提供を従業員ができなくなった場合は、「債務不履行」状態ですから労働契約を解除せざるを得ないというのが基本的な考え方です。しかしながら、病気やけがの状態によっては回復の見込みがあり、「ある程度の期間」を要すれば職場復帰できるという場合に労働契約を早々に解除するのではなく、会社が「回復するまで少し待ってみよう」ということで設定された制度です。

「待ってみる」ことも会社の任意であり、「ある程度の期間」の長さを決めることも、「無給か、有給か」を定めることも会社の任意です。会社の判断を要するものですから、会社は明確に「休職」の開始を従業員に伝える必要があります。伝わっていなければ「休職」状態にあるか否かも従業員には分かりません。

一般に就業規則に定められている傷病理由による「休職」制度は、欠勤が1ヶ月経過した時点で医師の診断書の内容や産業医の意見を参考にして「休職」発令の必要性を判断します。すなわち、その会社で設定されている「休職期間」が満了するまでに傷病が治癒し、従前の業務に就くことができる状態に回復が見込まれると判断した場合に「休職」を命じるわけです。一方で、「休職期間」をもってしても回復の見込みがない場合は「休職」発令を行わず、労働契約の解除を選択することもあり得るわけです。

以上のように従業員にとっても「休職」を命じられたのか否かは、生活に影響を及ぼす非常に重要なことになります。また、「いつからいつまでが休職期間であるのか。」ということも従業員本人が認識しておかなければならないことです。「いつの間にか休職」ではとても困ることになります。従って、就業規則に定めるルールに則って、「休職」発令を判断し、「休職」開始日と満了日を明確に従業員に伝えて、しっかりと管理しておくことを徹底していただきたいと思います。

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