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No.202話:新入社員の受入れは「会社をあげて」が基本です。

新卒採用であっても、中途採用であっても知らない会社にはじめて入社する日は緊張もしますし、不安な気持ちで一杯なはずです。そんな気持ちを少しでも解消して、早く会社の雰囲気に慣れてもらい、仕事を覚える環境を整えようと会社の採用担当者はあれこれと知恵を絞っていることと思います。

例えば、いきなり職場に配属するのではなく、一定期間を設けて「Off・J・T」として座学で研修を実施して、知識として仕事を先に覚えてもらうといったことも、その一環であると思います。また、最近は昭和の時代に盛んにおこなわれていた、全従業員参加の「運動会」や「ボーリング大会」といった親睦事業を再び開催して、新入社員が会社に馴染む機会を設ける企業も増えてきています。

以上の取り組みは新入社員の緊張や不安を緩和することに一定の効果があるといわれています。とはいうものの、集中的な研修や親睦事業については企業体力によってできないところもありますから、各企業の事情に合わせてこのような取り組みを選択することは必要であると思います。

さて、問題は新入社員の一連の受入れが、人事採用担当者や各職場の教育担当者に「お任せ」になっている企業が少なくないということです。どういうことかといいますと、職場への配属後はその職場の教育担当者が付きっきりになって、新入社員へ仕事の仕方や同僚との連携、取引先への対応についてレクチャーを行うことになります。この時に職場の先輩が「新入社員の受入れは自分たちに関係がない。教育担当者に任せておけばいい。」と新入社員の受入れに無関心を装うことです。特に困るのが中途採用の方への対応です。「お手並み拝見」といった冷ややかな態度や新メンバーの「品定め」のスタンスで接してしまうというものです。

新入社員はその職場の従業員の「敵」ではなく、これからともに働く「大切な仲間」であるはずです。この態度は大きな考え違いです。人材が退職する理由の上位に「人間関係が良くなかった」があります。緊張して、不安を抱えている新入社員が職場に入ってきて「ウエルカム感」を受けず、むしろ「疎外感」を受けてしまえば、まさに「人間関係」を理由に退職を選択することになりかねません。にもかかわらず、自分の対応を省みることもなく「え?あの新入社員、もう退職したんだって。誰も長続きしないね。」などと、職場の従業員同士でささやきあっている姿はもはや滑稽ですらあります。

大切な職場の仲間が新たに入ってきているのですよ。採用担当者や職場の教育担当者に受け入れを「任せきり」にしてどうするのですか。職場全体、会社全体で「よく、わが社に来てくれた。」と迎い入れるべきではないでしょうか。日々の挨拶はもちろんのこと、「何かわからないことがあったら何でも聞いてね。」「何か困ったことがあったら相談してね。」という声かけや、「○○社の担当の佐藤さんは動物好きだから、動物の話をしてあげるといいよ。」といった情報提供をしてあげてください。この人材不足の世の中で折角、入社してくれた人材に早々に退職されるなんてもったいないですよ。

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