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No.208話:「雇用の流動化」時代だからこそ人事部は不可欠です。
2024.06.19
人材が流出する原因は「給与などの待遇に不満がある。」「上司のパワハラがひどく、職場環境が悪い。」「会社の業績が低迷して、将来の見通しが立てられない。」などのネガティブな理由に限ったことではありません。
待遇に満足していても、職場の同僚と働くことが楽しく、仕事が楽しいと感じていても、「自分のスキルを高めたい。」「違う職場で違う仕事をしてみたい。」といったポジティブな理由で転職を志す人材もいます。こういった人材が増えたことも「雇用の流動化」進展の背景でもあります。
実際に会社の待遇面や職場環境などに不満があるのであればまだ対策の練りようもありますが、後者のように労働者自身が職業人生を前向きに考えた上で転職を選択する場合は、会社としては手の施しようがありません。
しかも、転職を志す労働者はおおむね市場価値の高いスキルを持った人材ですから、会社としては貴重な戦力を失うことになり、正直「痛い」と言ったところではないでしょうか。一方で市場価値の低い人材は「転職をしても今よりも賃金が下がる可能性の方が高い。」と自覚していますから、少々会社の待遇などに不満があっても「思い切って転職しよう。」とはせずに、そのまま会社に残留することを選択する方が多いようです。
このような「雇用の流動化」の状況において、人材不足の会社が取るべき方法としては一刻も早く「①流出した人材レベルの人材を、新規採用で補うこと。」「②残った人材の中から、流出した人材レベルまで育成すること。」「③これ以上、人材が流出しないように防止策を講じること。」が必要となります。
とりわけ①については、人材が流出してから新しい人材を募集するようでは遅きに失します。常時、人材を募集して採用を続けておかなければ「雇用の流動化」には追い付くことはできません。
採用が定期的な「新卒採用」に限らず、「通年採用」が当たり前の時代に入っています。視点を変えれば他社でポジティブ退職した人材を受け入れる採用体制を整える必要があります。
従いまして、今後は人事部門の役割が極めて重要になってきます。規模の大きな企業は人事部門を充実させて、前述の①②③に早々に積極的に取り組んでいます。中小企業の場合はどうでしょうか。「わが社は人事部門に人材を割くほどの余裕はない。」と手をこまねいていては、
市場価値の高い人材の争奪戦において、大きな規模の会社に負けてしまうことになりますよ。
人事業務はもはや経営者や経理担当者が片手間でできるレベルのものではなくなっています。経営環境的に「厳しい」とは重々承知の上ですが、
「雇用の流動化」時代においても持続的に必要な人材を確保して企業を存続させるためにも、人事部門の充実に勇気をもって取り組んでいただきたいと思います。
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