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No.209話:「雇用の流動化」にあっても「終身雇用」は残る。

かつて「終身雇用」「年功序列」「企業内組合」は日本型経営の「三種の神器」と呼ばれていました。現在においても「三種の神器」を堅持している会社は存在しますが、近年そのありようは大きく変わってきています。

まず「企業内組合」については、高度成長期に労働者の賃金の底上げに寄与していたときほどには、組合運動がクローズアップされることがなくなりました。それとともに労働組合の魅力が失われ、若い人材を中心に労働組合に加入する労働者が減少しています。当然ながら労働組合の組織率も低迷し、もはや「三種の神器」とは言い難い状態にあります。

「年功序列」については改めて言うまでもなく、すでに多くの企業において見直しが行われています。いわゆる「働かない年配者」にただ、「年齢が高いから」「社歴が長いから」というだけで高い賃金を支払っている会社は、バリバリ働く若い人材には「魅力のない会社」と労働市場からは見放されています。若い人材を確保したい会社は当然、彼らに選択してもらうためにも年齢に比例して上昇する賃金ではなく、貢献度に応じた賃金体系の導入に取り組むようになっています。

では、「終身雇用」はいかがでしょうか。こちらについては会社側というよりも労働者側による変容の方が大きいように思います。このコラムでも何度かお話しているように「雇用の流動化」の進展により、労働者の方が一つの会社に留まらず、積極的に転職を繰り返し自らのスキルを高め、労働条件を向上させていく時代に入っています。従いまして「終身雇用」についても、実態としては確かに「崩れかかっている。」と考えていてよいと思います。

しかし、会社側は「終身雇用」の崩壊に積極的ではないと思います。何故なら多くの企業ではむしろ「従業員には、いつまでも我が社に残って、会社の事業に貢献して欲しい。」というのが本心だからです。

確かに費用と時間を投じて新しい人材を探して採用することは大変なエネルギーを使います。そして、会社の戦力となる人材に育成することも相当なエネルギーを必要とします。そんな大切な人材が他の会社に移ってしまえば元も子もありません。会社としては、採用した人材が定年まで(定年後も継続して)働いてもらえればこんなに効率的なことはありません。当然のことながら「終身雇用」は堅持したいはずです。

一方、労働者側にとっても「雇用の流動化」の世の中にあっても、「終身雇用」の会社は魅力的であると思います。真面目に働いていれば定年まで面倒を見てくれる会社は「安心」して入社できます。「安心」は労働者の生活の「安定」につながりますから「魅力的な会社」ということなのですね。従って、たとえ途中で従業員に転職されることがあっても、制度として「終身雇用」は続けていくことは正しい選択と言えると思います。

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