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No.211話:有期雇用者の雇止めで留意することとは。

雇用契約期間に定めがある、いわゆる「有期雇用契約者」を期間満了時において、会社はその契約の更新をするかしないかを判断しなければなりません。契約更新を判断される側である有期雇用契約者にとっては「今回の契約期間満了時に自分は更新してもらえるのだろうか。」と雇用の安定に不安を抱えることになります。

そこで有期雇用契約については「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準(平成15年厚生労働省告示第357号)」が設けられ、所定の契約期間満了時に「更新する場合がある」とした場合は、「契約更新の判断基準」を雇用契約締結時に労働条件通知書に明記することが義務付けられました。

また、労働契約法において平成25年4月1日以降の雇用契約期間が通算して5年を超える場合は、労働者から申し出があれば期間の定めのない無期雇用に転換することが会社側に義務付けられるようになりました。

以上のように近年の法改正により有期雇用契約者の雇用の安定について一定の配慮が図られてきましたが、それでも現実には雇用期間満了時において会社から「雇用契約の更新をしない」という、「雇止め」が行われ様々なトラブルが労使間で生じています。

「事業縮小のため剰員が生じた。」「受注量が減少した。」とった会社側のやむを得ない事情で契約の更新ができない場合があります。一方で「労働者の勤務態度が悪く、同僚とのトラブルが絶えない。」「無断欠勤や遅刻が多く労働力の完全な提供が期待できない。」という労働者側に問題があって、契約の更新をしない場合もあります。

会社が「雇止め」を判断するあたっては、会社としては「正当である」という背景や理由はあると思います。しかしながら、労働者としては「雇用がなくなる。収入が途絶える。」という深刻な事態が生じますから、「雇止め」が受け入れがたいことは当然のことになります。従って、たとえ入社して1年未満であり、最初の雇用契約の更新時期だとしても「雇止め」は慎重に対応する必要があります。

まずもって、「契約更新の判断基準」に基づいた理由であることが必要です。「業務量が減少した。」といいながら、実際には会社の業務量に大きな変動がなければ理由になりません。「遅刻、欠勤が多いことは、判断基準の『労働者の勤務成績が良好』に抵触する。」としていても、その労働者の勤務成績が雇用期間において「遅刻1回」だけでは「労働者の勤務成績が良好」ではないと判断することは「厳しい」と言わざるを得ません。

また、仮に判断基準に基づいた正当な「雇止め」であったとしても、その通知の時期は出来るだけ早くするに越したことはありません。「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」では、雇用契約期間が通算で1年を超える場合は30日以上前に「雇止め」の通知をすることが義務付けられています。しかしながら、1年未満であっても労働者の混乱を避けるために同様に30日以上前に通知してあげる配慮は必要と思います。「思いやり」のない労務管理は無用のトラブルを招くということを理解しておくことが大切です。

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