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No.213話:あなたの会社に管理監督者は本当に必要ですか。

一般に会社には係長、課長、部長といった職位の従業員がいます。彼らは会社から職場において、仕事や他の従業員を監督もしくは管理をする権限を委譲されてその職位に従事しています。いわゆる「管理監督者」と呼ばれる人材です。さて、いきなり乱暴な話ですが、「管理監督者」は職場に本当に必要なのでしょうか。

課長が自分の部下である課員一人一人の仕事内容を把握し、他の課員と連携して課員単独では得られない成果(1+1=5のような)をもたらすことができるのであれば、確かに課長という「管理監督者」を設置することに意味があると思います。

また、課員の仕事の進め方の課題を明確にして必要な指導や助言をすることで、その人材を育成して組織全体の生産性向上につなげることができるのであれば、課長がその組織で果たす役割は極めて大きいといえます。

しかしながら、「管理監督者に登用することで、その従業員のモチベーションアップにつなげる。」という理由で係長や課長に任命した場合はどうでしょうか。昭和・平成の時代であればまだしも、昨今では「管理監督者になると負担が増える。責任が重い。」と感じる従業員が増えています。従業員のモチベーションが向上しなければ、「管理監督者」を設置したことが無意味になるのではないでしょうか。

それでも、モチベーションアップを目的とした人材登用の方が、まだ少しはマシかもしれません。単に「時間外手当を支払わなくてもよくなるから」という理由で、入社年数の浅い従業員を課長という「管理監督者」のポストに任命するケースもあります。これでも、部下を抱えて曲がりなりにも課長という職責を担うのであればまだしも、課員がいない「名ばかり課長」であれば、何のための「管理監督者」なのか疑問を感じてしまいます。

「対外的に管理監督者の肩書が必要なんだ。」というのであれば、課長、部長といった肩書の入った名刺だけ用意すればいいだけのことです。その昔、ある銀行のフロアで「支店長代理」というネームプレートを胸に付けた銀行員がいました。「支店長の次に偉い人なのかな」と思って、その銀行の他の職員に聞くと「嘱託職員の方ですよ。位置づけは一般職の方と変わりません。窓口のクレーム対応のときに『支店長代理』という肩書の方が都合がいいのですよ。」と教えてもらったことがありますが、それと同じです。

ここでもう一度、「管理監督者」を会社組織に設置する本来の目的を踏まえて欲しいと思います。「管理監督者」が存在することでメンバーがバラバラで仕事をするよりも、2倍も3倍も成果が得られるのであれば設置すればいいと思います。一方で「管理監督者」がいてもいなくても、もたらす成果が同じであればあえて設置する必要はないと思います。

「社長以外の従業員80人、全て一般職」という会社もあります。それでも大きな利益を生み出す優良企業もあります。「管理監督者」がいなくても機能する会社は無理をして設置する必要はありません。また「管理監督者」の職責を担う人材がいなければ、無理をして設置する必要もありません。必要のないものを設置するとかえって組織が機能不全を起こすこともあります。「わが社に管理監督者は必要なのか。」を改めて問いかけてみてから設置を検討するようにしてください。

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