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No.214話:部下への「指示待ち族になるな」の注意は正解でしょうか。

「最近の若い人材は、こちらから仕事の指示をしないと動かない。」「次の事態を想定して先回りして仕事ができない人材が増えている。」一見もっともらしい上司の嘆きに聞こえますが、右も左もわからない新卒社員に少々、仕事の段取りを教えたくらいでは上司が期待するような行動を自主的に起こすと思っているほうがおかしいように思います。

「そんなことはない。自分たちが若い頃は『指示待ち族になるな』と怒られるから、とにかく上司から指示される前に仕事を進めていた。」との反論のお言葉もいただきます。「一から十まで説明しないと仕事に取り掛かれないようでは半人前だと怒られた。」というお話も聞きます。そのようなエピソードを根拠に自分たちの若かりし頃よりも、今の人材の質が落ちていることをベテラン社員の方は嘆くのですが、本当にそうなのでしょうか。

バブル経済崩壊後の不況期にあっても、1990年代までは新入社員の社員教育や人材育成は今よりも充実していたように思います。座学はもちろんのことOJTでは先輩社員が付きっ切りで、新入社員にまさしく「一から十まで」「手取り足取り」で仕事のレクチャーをしていたように思います。ある意味、ベテラン社員の方の若い頃は「恵まれた環境」でスキルを育成されていたのではないでしょうか。

最初の1年間であったとしても、しっかりと仕事を教えてもらっているからこそ、実際に一人で仕事を任されたとしても、先回りして仕事がすすめることができたのではないかと思います。また、育成期間で培われた人間関係を駆使することができるので、問題が生じたときでも適宜に相談して対応できるのだと思います。

「仕事は教えてもらって覚えるのではない。親方の背中を見て覚えるのだ。」という職人の世界の人材育成の在り方を、営業や事務の仕事に当てはめる方もいます。しかし、職人の仕事は「言葉」ではなく、「背中(実際の作業をしている姿)」で「一から十まで」の仕事の進め方を見せて、覚えさせ、まねをさせることで丁寧に教えているのだと思います。営業や事務の仕事は職人とは違うということです。

従って、営業や事務の仕事は「言葉」で「一から十まで」しっかりと教えてあげないと簡単には覚えることはできないということです。教え方が不十分では覚えることなどできません。覚えていない仕事は事前に想定して取り組むことなどできませんし、指示がなければなおさら何もできないに決まっています。

入社して1年も経過しているのにも関わらず「指示待ち族」となっているのは、「最近の若い奴らは仕事ができない」ではなくて、会社で上司や先輩がきちんと仕事を教えていないからだと気づくべきです。

部下や後輩の仕事の進め方に不満があるのであれば、今からでも遅くはありません。もう一度原点に戻って、しっかりと仕事を教え直してください。そうすれば、指示をしなくてもルーティーンの仕事は勝手に取り組んでいくと思います。はじめての仕事でもある程度、先読みして進めていくと思います。それでも「できない」ときは上司、部下の教え方が悪いということですから、教え方を根本から見直す他ありませんね。

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