『人事労務戦略』構築専門のコンサルタント 株式会社サムライズ

0798-36-7188

無料メルマガ登録

今週のコラム、各種ご案内をお届け中です。ぜひ、ご登録ください。

登録解除

No.218話:解雇するタイミングは逃さないこと。

「あの時に辞めてもらったら良かった。」「あの時に思い切って解雇通告をしておけばよかった。」この「あの時に決断しておけば・・・」は実はよく聞こえてくる経営者の嘆きでもあります。

とはいうものの従業員に身を引いて(退職して)もらったり、従業員を解雇することを決断することは経営者として、ハードルの高い課題でもあります。従業員の生活に大きな影響が出るわけですから、基本的には「雇用関係の継続」の可能性を探りながら判断しているものと考えられます。また、会社としてもできるだけ人材を失いたくないという事情もありますから、慎重に対応するのは当然になります。

商談での詰めが甘く、度々会社に損失を生じさせている従業員がいます。その従業員がまた新たなミスを犯し、いよいよ責任を感じて社長に退職届を出してきたとします。確かにミスも多く、長年において指導教育をしたが仕事の進め方は一向に改善せず、「いい機会だから退職届を受理しよう。」と思うものの、その従業員の生活も考えて社長としてラストチャンスと思い「そう言わずに、もう少し頑張ってみてくれ」と退職を翻意させることはよくあることです。

ところが、従業員が「これだけの損失を招いたのに、退職するほどでもなかった。」と安心し、相変わらず仕事の取り組み方を変えず、その後に再びとんでもないミスを犯して会社に大損失を生じさせれば、退職を翻意させたのは間違いであったということになります。

酔っぱらって飲食店で暴力沙汰を起こし、警察に捕まった従業員。これまでは大事になってはいなかったものの、素行が悪く職場でもトラブルが絶えないということが判明。「懲戒解雇」処分が相当という意見もあったが、若いということと当事者間で示談が成立し不起訴となったことから、情状を酌量して5日の「出勤停止」に留めた場合です。

しかし、その後も暴力沙汰は起こさないものの、素行のわるさや暴言による職場や取引先と些細なトラブルが絶えず、注意指導するものの一向に改善されない場合において「あの時、解雇しておけばよかった。」という思いに至ることは十分あり得ます。また、解雇しようにも相当するような行為ではない場合は解雇を容易にできなくなります。

従業員に対して退職を翻意させたり、情状を酌量して解雇を見送ることは間違いではないと思います。大切なことは個々の事例を目の前にして、事案の状況や従業員個人の日頃の行動などを見極めた上で慎重に判断することです。「この人はまた、同じようなミスをして今後もたびたび会社に損失を生じさせるだろう。」「今回は大いに反省しているが、性格的に素行の悪さは改善されないだろうし、これからも職場でトラブルを起こしてしまうだろう。」と判断したのであれば、勇気をもって決断すべきです。トラブルなく従業員に辞めていただく機会は滅多とありません。タイミングは見失わないことです。

コラム一覧

無料メルマガ登録

今週のコラム、各種ご案内をお届け中です。ぜひ、ご登録ください。

登録解除