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No.219話:最低賃金1500円を視野に入れた賃金計画が必須です。

先日、本年10月1日から発効される地域別の最低賃金の改定目安が公表されました。全国加重平均で上がり幅は過去最高の50円となり、加重平均額で1051円となります。すでに都道府県労働局において決定に向けての審議が行われていますが、なんと84円上昇を答申している県もあります。

このような中、経営者からは「50円も上がるのか。いつまで続くのか。」とのお声を頂戴しますが、「正直申し上げて来年以降も同じ水準での上昇は十分あり得えますよ。」とお答えしています。

長い経済の低迷により賃金引き上げが進まず、いつの間にか日本は先進国の中でも賃金水準が低位に甘んじる事態となっています。ようやく景気の回復期を迎え、その足取りを確かなものにすべく社会がデフレからインフレへの移行できるように、政府としては企業の賃金引上げの促進を図りたいというのが大まかですが、その理由となっています。

その中でも最低賃金の引き上げは、民間企業に対して強制力があり、政策効果が期待できます。政府は2030年代半ばまでに1500円の達成を目標に掲げていますから、「毎年50円アップ」は当然といえば当然ということになります。

もちろん、企業にとって「50円アップ」は単に最低賃金ラインの従業員の賃金を上げればいいという問題ではありません。それ以外の従業員の賃金も連動して引き上げないと、賃金の逆転現象が起こりかねないからです。従って、最低賃金の大幅の上昇は、人件費増加を招き、規模の大きい企業ももちろんですが、とりわけ中小企業にとっては「死活問題」となります。

「最低賃金の50円引き上げは困る。もっと少額にしてくれないと会社がつぶれてしまう。」と言いたいところですが、残念ながら政府が方針を変更することは現状では考えられません。では、どうするかですが、「最低賃金1500円時代」を見越して、早期に対応の準備を始める他はありません。

すなわち、「取引先との値段交渉を行う。」「販売価格を引き上げる。」「会社資産や負債を整理して、財務体質を改善する。」など、毎年賃金を引き上げても経営が成り立つようにステークホルダーを巻き込んで対策を講じていくということです。

「そんな簡単にできるわけがない。」とお叱りを受けそうですが、何もしなければ「座して死を待つ」ような状況になりかねません。準備は今からしなければ、後で取り組んでも状況は悪くなるだけで、対応が遅きに失します。「できることは何でもする。」という気構えをもって、ことに当たる他はないということです。

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