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No.222話:経営者は職場のすべての情報を把握する必要があります。
2024.09.25
会社組織というものは大きくなればなるほど、社長一人では動かせることは出来なくなります。他の役員に社長の権限の一部を委譲する、あるいは各職場の責任者にその運営を委ねなることになります。
しかし、自分以外の役員や管理職に権限を委譲したとしても、会社の経営に関する責任は社長に帰属しますから、
職場で生じた事故や損失について「そんなことになっているとは、全く知らなかった。」では通用しません。
従って、まずもって「ツバメが工場の玄関のひさしに巣を作った。」という些末な情報も含めて、社長に伝わっておく必要があります。
ただし、重要なことは情報を伝える側に整理力が備わっている必要があります。
「折を見て伝えるだけで良い情報なのか。」「伝えるだけにしてもできるだけ早い方がいい情報なのか。」「どうすればよいのかといった社長の指示を得たい情報なのか。」などの整理です。整理のないままですべての情報を伝えても、社長としても受け取るだけで、情報を有効に活用することが困難になります。
例えば前述の「ツバメが工場の玄関のひさしに巣を作った。」という一見ほのぼのとした情報であっても、現場の責任者が整理できているかが重要です。「工場の玄関のひさしに巣を作る年は、わが社の商品の発注が増える傾向がある。」ことを思いだせば、直ちに社長に伝えて、生産を増やすべきかを相談すればいいということです。
あるいは「ツバメが巣を作ることは季節的なことで、大きな問題ではない。ただし、この場所だと従業員や来客者が通るときに、頭に糞を落とす恐れがあるので巣の下にカバーを設置しておこう。」と現場の責任者が判断する場合もあります。この場合は社長に迅速に情報を伝える必要はなく、事後に他の情報と同じように「ツバメが巣を作ったこと」そして「カバーを設置したこと」を伝えればいいだけです。
あわせて、情報は正確であることが求められます。
どれほど急を要する情報を迅速に社長に伝えても不正確では無意味どころか、会社に混乱を招くことがありますから絶対に避けるべきです。
たとえば、職場で上司が部下に対して怒りのあまりに「馬鹿野郎」という暴言をパワハラ事案が生じた場合です。これは直ちに社長に伝えるべき情報です。しかし、このときに上司が部下に対して「暴力も振るった」という事実ではない情報が伝わるとどうなるでしょう。
暴言も問題ですが、暴力もあったのであればパワハラとしては重大な懲戒処分の対象となり得ます。この不正確な情報により、この上司に対して不当な処分を言い渡してしまうかもしれませんし、不当な処分を不服に思ってこの上司と会社との間に労使間の紛争が生じかねません。そういう意味でも情報は正確であることが必須となります。
いずれにしましても、会社組織が大きいほど社長には情報が伝わりにくくなります。それによって社長のガバナンスが弱くなってしまいかねませんから、情報が迅速かつ正確に伝わるように現場の責任者の管理能力を高める他ありませんね。
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