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No.225話:労働条件の引き上げは企業体力をよく踏まえること。

経営者として「大切な従業員の労働条件を引き上げたい。」と志すことは非常に尊いことだと思います。また、「賃金を引き上げて欲しい。」「賞与を支給して欲しい。」「退職金制度を設けて欲しい。」「休日を増やして欲しい。」といった従業員からの要望に、「経営者として是非とも応えたい。」と思うことももっともなことだと思います。

しかし、労働条件の引き上げは人件費の増加につながり、当然に会社の損益に影響が出ます。従って、会社としては状況次第で「できること」もあれば「できないこと」もあります。一方で、従業員の流出を防ぎ求人募集を刺激するために、労働条件の引き上げを検討せざるを得ない状況に置かれている会社が多いことも事実です。「できない」ままにしておけば、人員を確保できず事業運営が成り立たなくなる「ジレンマ」が生じてしまいます。

しかし、現実にはその会社ごとの企業体力というものがあります。これを無視して労働条件の引き上げをしてしまうと、早晩会社の経営が立ち行かなくなります。そうなれば、「会社を畳む」か「労働条件を元に戻す」かの選択に迫られることになります。後者の場合、一旦引き上げた労働条件を「元に戻す」ことは、「不利益変更」に外ならず、容易には取り組めないことなります。

何よりも労働条件の引き上げは、長期的視野に立って取り組むことが重要です。「従業員の要望に応えたい。」「有能な人材に魅力的な労働条件の会社だと思われたい。」がために、安易に取り組むことはせず、よくよく考えて取り組みを検討することです。

とはいえ、従業員には経営的な視点を持ち合わせてない方がほとんどです。「他社はこれくらい貰っている。」「知り合いが勤める会社は賞与が出ている。今どき賞与のない会社なんて考えられない。」「退職金制度がない会社では、自分の将来不安だ。」「年次有給休暇だけでは足りない。結婚休暇、忌引休暇を設けて欲しい。」などを、会社の経営実態も深く考えずに要望してくるものです。(それ自体は悪いことではありませんが。)一部の従業員は「要望してみて、会社が受け入れてくれればラッキーだ。」程度に考えている方もいます。

問題だと考えることは、経営者が「事業経営的に困難だ」と感じる要望に対して、「少し時間が欲しい。考えてみるから。」「5年以内に取り組むから、今は待って欲しい。」などと、従業員が少なからず期待を持つような回答をしてしまうことにあると思います。法律で対応すべきことは別ですが、法的に義務のないもので経営的に「できない」ものには、きっぱりと「できません。」と従業員には答えるべきです。

「こんなこともしてくれないのですか。じゃあ、別の会社に転職しようかな。」と半ば脅すように、自らの要望を強要してくる従業員もいます。しかし、経営者はこの手の恫喝にひるんではなりません。「できないものはできない。転職したいのであれば貴方の自由だから好きにすればいい。」と答えればいいのです。このようなタイプの従業員に限って、結局は辞めませんから毅然とした態度で臨む限ります。

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