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No.229話:納得性の乏しい人事評価制度は逆効果。

ここ数ヶ月、クライアント数社から人事評価制度の導入、見直しについてご相談を頂いております。人事評価制度は従業員の賃金昇給や、職位・等級の昇格といった処遇に反映され、従業員の「働きがい。やりがい。」に大きな影響を及ぼします。当然のことながら、会社の生産性を左右し、損益を揺るがすことになりますから真剣に向き合わなければなりません。

特にこれまで導入していなかった人事評価制度を構築する会社は、慎重に進める必要があります。上司から期中の業績や行動・態度を評価された経験のない従業員にとっては、人事考課表の項目の内容によっては「こんな項目について評価されることの意味が分からない。」と感じることがあります。「何故この項目を評価するのか。」の事前説明もなく、理解できていない状態で評価されても、評価される従業員には不満や疑問が残ってしまうものです。

人事評価制度において評価項目を構築することは非常に重要な事項です。人事制度の土台となりますから、これが疎かになれば人事評価制度そのものが崩壊しかねません。まずもって、人事評価項目は時間を掛けて組み上げることが大切です。では、人事考課項目はどのように組み上げるかということになります。

会社には、それぞれの職位、職務に従事する従業員に求める能力や知識、経験が概念的であっても、確実に存在しているはずです。初めて人事評価制度を構築する会社は、まずはこの職位等級、職務ごとに求める遂行能力、職務知識などの要件を整理し、文章化することから始めなければなりません。

だだし、この文章化は人事評価制度を主体的に設計する人事スタッフだけでは不可能です。実際に職務に従事している職場の職長やリーダーからの意見の集約が不可欠です。「この仕事は3年の実務経験が必要で、こういった判断力やこの方面のこの程度の知識が必要だ。」といったものです。この意見を整理し文章化したものに対して、「ここはこういう意味ではない。こういう表現の方がいい。」という職長やリーダーの検証を経て、ようやく実態に近い職務要件ができます。

以上の職務要件をもとに職種、職位・等級ごとに人事考課表を作成します。この考課表には「能力項目」「情意項目」といった具体的な会社が期待する行動や姿勢を「着眼点」として明示します。従業員から「何故この項目が評価対象となるのか。」と聞かれても、上司は自分たちが参画して作成した人事考課表ですから、明確にその理由を回答することができるはずです。

とはいえ、以上のように作り込んでいても、人事考課表による従業員の評価はやはり難しいものです。従業員から「評価に納得性が無い。」「効果項目を通じての評価は馴染まない。むしろ、社長の直接的な評価の方が腑に落ちる。」ということもあり得ます。そのときは無理をせずに、従来の方法で従業員を評価し、処遇すればよろしいかと思います。

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