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No.231話:「傷病欠勤はやむを得ない。」と労働者から言われても。

単に従業員が「会社を休む」行為を考えるに、就業規則や労働契約において定められている「休日」は、使用者側に取得させる「義務」が生じます。約束なんですから、取得させなければ「債務不履行」です。一方で年次有給休暇や産前産後休暇は、法律で定められた「休暇」は労働者側の「権利」であり、それを行使した場合、使用者は阻害することはできません。

「休日」も「休暇」も就業規則や法律に則るもので、「会社を休む」ことによって労務提供が滞っても何ら問題はありません。しかし、私的な病気やけがによる「会社を休む」、すなわち「欠勤」は「休日」や「休暇」とは違います。「欠勤」は労務提供義務を履行していない労働者側の重大な労働契約上の「債務不履行」になります。

「病気だから欠勤することは仕方のないこと」「ケガをして働けないのだから欠勤せざるを得ない」という労働者のご事情は理解できます。当然、ゆっくりと療養していただきたいと思います。しかし、そうであっても「債務不履行」行為であることに違いはありません。しかし、このことを意識できていない労働者が少なくありません。

もちろん、「労働契約上の債務不履行だから、そのような労働者は解雇すべきだ」ということではありません。問題であるのは「傷病による欠勤はやむを得ない事情だから何らのペナルティも無い」と労働者も会社も誤解してしまっていることです。

先日いただいた相談では、「病気で長期『休職』に入っている従業員から、『会社から定期的に病状の確認などの連絡が無い。不誠実だ。』という不満を伝えてきたがどうすればいいか。謝る必要があるのか。」というものがありましたが、これにはさすがに驚きました。病気になられたのは確かにお気の毒なことですが、労働災害ではない以上は病気になられた責任は会社にありません。なぜ、会社が謝る必要があるのでしょうか。

別に強要するつもりはありませんが、本来は労働者側から「私的な病気で会社を長期で休むことになり、誠に申し訳ない」といって、定期的に自らが治療の推移や病状の回復状態について報告するのが本来の筋というものではないでしょうか。最近は残念ながら労働契約の本旨から逸脱した労使間のやり取りが散見されます。

もちろん、労働者の事情とは言え、欠勤で休養中の労働者に対しては会社も気に掛ける必要はあります。定期的に会社側から連絡を取ってあげることも大切です。しかし、だからといって会社側から連絡が滞っていたからといって「不誠実だ」と非難されるいわれはありません。こういう従業員からの筋違いのご不満には、「それは違うでしょう?」と毅然と対応することも使用者側には必要かと思います。

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