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No.233話:「一人対多数」では意思疎通は困難です。
2024.12.11
経営者や上司が研修、朝礼もしくは課内会議等の機会を通じて、会社や職場の運営方針を伝えます。自身の会社に対する思いや、従業員に期待すること、行動に起こして欲しいことも含めて、ことあるごとに伝えています。しかし、どこまで彼らに伝わっているのでしょうか。
「先月も営業会議で下半期の売上げがこのままでは達成できないから、各員3件ずつ新しい販路にアプローチを掛けて欲しいと檄を飛ばしたが、今一つピンと来ていないようだ。案の定、それ以降も営業行動に変化がなく、成果にもつながっていない。」ということは、まさしく「伝わっていない」ことを如実に表していると思います。
研修や朝礼、もしくは会議では、上司が一方的に話して、多くの部下が聞いているという「一方通行」です。「一方通行」では相手の言い分を聞く機会がなく、意思疎通が難しいという考えがあります。確かにそれも大きな要因でありますが、果たしてそれだけではないように思います。
研修や朝礼、もしくは会議のような「一人対多数」の環境では、いくら話し手が熱意をもって、スライドや資料を使ってわかりやすく懇切丁寧に説明しても、その場にいた人すべてがその内容を理解し、話し手の熱い思いを享受することは不可能です。
つまり、すべての参加者に伝えたいことを伝えることは「一人対多数」では困難ということです。
伝わっていなければ、その人に行動変容を求めることは、難しくて当たり前です。
「一人」の話を聞いている「多数」には、話している側ほどの緊張感はありません。長い話の間で、どうしても集中力を欠いてしまうものです。目と目があう、話し手と近い距離で聞いている人よりも、話し手の顔もぼやけて声しか聞こえてこないような遠くにいるには伝わりにくくなるものです。ことほど左様に「一人対多数」の環境下では、伝え手の気持ちは伝わりにくいということです。
では、職場で経営者や上司が、会社や職場の運営方針といった自身の思いを伝えるにはどのようにすればいいでしょうか。
「一人対多数」と比べてということになりますが、「一人対一人」で会話をして、伝えるという方法が優れていると思います。
いわゆる「1on1」といわれるものです。
相手の目を見て、息づかいを感じて話を聞いていれば、熱い思いを肌で感じて受けとめやすくなります。たとえ話し手の「一方通行」であっても伝わるレベルは高くなるはずです。聞き手の話も随時に聞いていただければ、信頼度も高まり話し手が求める行動変容を聞き手に期待できます。
「一人対一人」は何もアフター5で食事にいって行うものではありません。就業中に時間を作って上司と部下が行えばいいのです。5分でも10分でも構わないのです。上司は大変かもしれませんが、「一人対一人」で数多く機会を設けて話すことが大切なのです。
このようなことの積み重ねが従業員のエンゲージメントを高め、定着率向上にもつながると思います。
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