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No.239話:「紹介採用」もほどほどに

「喉から手が出るほど人手が欲しい」という事態は、業種や事業規模の大小に関わらずどの会社でも深刻です。そこで最近よく耳にするのが「紹介採用」というものです。つまり、在職中の従業員に「知り合いで誰か良い人材がいたら、紹介してくれないか」と、紹介してもらった人材を採用するというものです。

実績のある従業員からの紹介であれば、身元も信頼できるし、会社の業務に対応できるスキルを有しているということも、その従業員が判断した上でのことですから、これほど確実なことはありません。一般の求人採用に較べればはるかに効率的で安上がりです。従って、「紹介採用」を積極的に行っている会社が増えているわけです。

確かに人材確保の一手としては「有り」だと考えます。しかし、「落とし穴」もあるので要注意の方法であるとも言えます。職場に気の合う知人が入社することは、紹介した側としては「楽しい」職場になることは間違いありません。そのことでその従業員のモチベーションが向上し、会社にとっても業績向上につながれば言うことはありません。

一方で気の合う仲間が職場に増えることで、紹介した従業員を中心に「都合のいいグループ」を形成しかねないというリスクが生じます。入社した従業員は紹介された手前、紹介した従業員に強く逆らえず、言いなりになってしまうことも考えられます。紹介した従業員の個性が強く、マウントを取りたがるタイプであればなおさらです。

徒党を組んで会社の方針に正当な理由もなく従わなくなる、あるいは気に入らない上司や同僚を職場から追い出そうとするといった、職場の秩序を乱すことも考えられます。大きな職場で二人や三人程度であれば、大きな影響は生じませんが、小さな職場であればたちまち機能不全に陥る可能性もあります。

10人くらいの会社で「紹介採用」を続けていたところ、ある従業員が自分の兄弟、子供を入社させて、その一方で古参の従業員が居づらくなるようにして、最後は辞めさせてしまった事例があります。それだけに留まらず、経営者に変わって会社の事業を好き放題にし始め、最後はその経営者を追い出して、自分が社長に取って代わってしまうという最悪の事態を招いてしまいました。まさに「庇を貸して母屋を取られる」の諺そのものです。

「紹介採用」は確かに人材確保には一定の効果が見込まれます。取り組まれることに異論はありませんが、「過ぎたるは猶及ばざるが如し」といいます。上手くいっているからといって、過度に依存することで恐ろしい見返りが来ないとも限りません。特定の従業員からの紹介に偏らないようにするなどの工夫が必要です。何よりも人材採用は経営者の「確かな目」で人材を見極めてから行うということが「基本中の基本」です。くれぐれも「通常採用」という人材雇用の王道を疎かにしないようにしましょう。

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