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No.252話:退職理由を掘り下げて究明していますか

退職を申し出てくる従業員に対して「どうして?」と当然、その理由をどんな会社の上司も人事担当者も確認すると思います。退職代行業者を通じて「一身上の理由で」との退職届が送られてくると確認のしようがありませんが、本人からの直接の退職申出の場合は、「どうして?」と確認はできると思います。

その確認の際に本人から「自己都合です。理由は詳しく話したくありません」と言われれば、それ以上掘り下げて理由を聴くことは難しいと思います。そうではなく割と退職の理由を説明してくれる従業員の場合は、できるだけ詳細に理由を聴きとることです。

例えば「給料が不満」という回答であれば、何が「不満」であったかを聞き出すことです。「同年代と比べて少なかったということ?」と比較対象が何であったかから始めて、「不満」の中身を掘り下げていくことです。「同年代」という切り口であれば「大学の同級生数名と比べると2年目では自分よりも2万円も差がある」と具体的に聴き出すのです。今の若い世代はお互いの給与明細を見せ合って比較することを平気でやっていますから、リアルな金額比較ができています。故に具体的な支給額の差というものが確認できる場合があります。

あるいは「今年は2つのプロジェクトを担当して、成功という結果も残しているし、会社にも貢献しているにも関わらず、昇給に反映してもらえなかった」という理由を聴き出せる場合もあるかもしれません。その場合はその従業員が主張する仕事と成果について、実際にはどうであったのかを職場に確認する必要があります。

上記のように「同級生と2万円も差がある」「成果が昇給に反映されていない」という具体的な「事実」が確認できて、会社として「問題がある」と判断ができれば、今後の「給料に不満」という退職者への対策が立てられるようになります。

また、「労働時間が長い」という退職の理由であれば、「残業時間は月に何時間程度であったか」を、確認することです。確認の結果によっては職場からの報告に基づいた、実際の時間外手当として処理していた残業時間よりも、本人が自覚している残業時間が短いという事実が分かるかもしれません。あるいは「1日の所定労働時間8時間」そのものが、その従業員の生活スタイルには「長い」という意味かもしれません。

「休日・休暇が自由に取れない」という理由も同様です。「隔週休2日では、やはり少ない。完全週休2日の会社で働きたい」という意味かもしれません。あるいは「希望する日に年次有給休暇を取りたいが、いつも変更を求められる」というものかもしれません。

退職理由を聴いたときの従業員の回答はほんの入り口でしかありません。「会社を辞める人から詳しく理由を聴いても仕方がない」と、事務的に確認する程度に留めるのは「もったいない」に尽きます。「退職する人だからこそ、在職中に言えなかったことを聴けるのでは」と考えを切り換えて、会社の労務管理に活かすために聴き出すようにしたいものです。

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