『人事労務戦略』構築専門のコンサルタント 株式会社サムライズ

0798-36-7188

無料メルマガ登録

今週のコラム、各種ご案内をお届け中です。ぜひ、ご登録ください。

登録解除

No.254話:会社は「専門学校」ではありません。

「松下は人をつくる会社です。あわせて家電もつくっています」は、その昔「経営の神様」と呼ばれた松下電器産業(現パナソニック)の創業者である松下幸之助翁が残した名言です。経営者として魅力のある言葉ではありますが、個人的には異を唱えたくなる言葉の一つです。(「カッコいい」と言いたくなる言葉ではありますが。)

会社は目的をもって事業運営をしています。製造業であれば製品を作って販売し、収益を得ることです。飲食業であれば来店客に「食事の提供」をすることですし、運輸業であればトラックなどで顧客が指定した場所に物品を運ぶことで収益を得ることです。これらの事業を進める上で「良い商品を作るため」にあるいは「良いサービスを提供するため」に、従事する人材を職場で育成することはありますが、人材育成は事業目的ではありません。あくまでも、従業員が育つことは事業運営上の目的ではないということです。

冒頭の松下翁の言葉の意図は「消費者から指示される製品を作るには、その作り手の人材がすばらしい製品を作れるように育てる必要がある」というところにあったと言われています。言わんとするところは「良い製品を作るため」の人材育成ということですから、やはり事業目的は家電製品を作ることに他ならないと私は理解しています。

では、何が言いたいのかということですが、この名言のように「人をつくる会社」と自社において人材育成に過剰に関与していないかということです。会社は「専門学校」ではありません。学卒の新入社員に入社1年間に集中的に、その会社が求める最低限の知識や技能の習得を目的とした教育訓練を行うことは理解できます。それでも「2年目も3年目も」ということになれば、「過剰」ではないかと思います。

そもそも、会社に従業員として雇われている以上は、「即戦力」のスキルを身に着けていることが求められて当然です。中途採用であれば、なおさらです。面接や試験のときに採用側が「即戦力」であるか否かを見極める必要がありますが、その会社が求めているスキルを身に着けていない人材が入社を希望し、「1、2年はじっくり職場で勉強させていただきます。」なんて自ら面接で宣言しているようでは、見極める以前の問題です。

また、会社が求めているスキルが不足している状態の人材を雇用して、職場に配置することは「刀を握ったことのない武士を戦国時代の戦場に送り込むようなもの」でしかありません。「じっくり勉強させてください」といわれても、常時戦闘状態の昨今の現代社会では「何を呑気なことを言っているんだ。そんな時間はない。刀を握って振ってくれ」と答えるだけです。

いずれにせよ「会社が仕事を一から十まで親切に教えてくれる」という時代は終わっています。人材育成に積極的であることは間違いありませんし必要ではありますが、会社は「ここに座って先生の話を聴いて勉強をしましょうね」という「学校」ではないのです。「必要な知識やスキルは従業員自らが主体的に習得する」ということは、最低限でも認識させるようにしましょう。

コラム一覧

無料メルマガ登録

今週のコラム、各種ご案内をお届け中です。ぜひ、ご登録ください。

登録解除