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No.256話:店舗の「営業時間」が「労働時間」になっていませんか

小売業、サービス業、そして飲食店など店舗を構えて、不特定多数の顧客に物品販売やサービスを提供する業種があります。このような店舗では開店および閉店時間を設定しています。いわゆる「営業時間」と言われるものです。店舗によっては朝10時から夜の9時まで11時間に及ぶ「営業時間」を設定しているところもあります。

もちろん、「営業時間」を何時間に設定しようが、それ自体は事業者の自由です。また、「営業日」を「年中無休」としていても、これまた自由裁量の範疇であり業種に関連した法律や、業界の「取り決め」に抵触しない限りは何らの問題は生じません。

一方で、その店舗で働く人はどうでしょうか。個人事業主が「営業時間」通り1日11時間、「年中無休」で働いていたとしても、こちらも問題はありません。もちろん、疲労で病気になってしまうことは好ましいことではありませんが、「体力的に限界だ」となれば自由裁量の範疇なのですから「定休日」を設定するか、「営業時間」を短縮するかご自身で見直せばいいだけです。

ところが事業主に雇われている従業員はそうはいきません。前述の個人事業主と同じように「営業時間」通り1日11時間、「年中無休」で働かせるとそもそも労働基準法に抵触することになります。もちろん、このケースは極端な例ですが、店舗の「営業時間」は切れ目がありませんから、油断をしていると「お客さんが多いから」という理由で、労働契約で約束したその日の「労働時間」を超えて働くことになりかねません。

「残業手当を支払っている」「超過分の時間給を支払っている」という事業主の言い分は確かに成り立つのですが、ほぼ「営業時間」通りに毎日働いているとさすがに従業員側も疲弊しかねません。もちろん「営業時間」が1日8時間という法定労働時間に留まるのであれば問題はありませんが、長時間の「営業時間」の店舗においては、従業員の「労働時間」との線引きは行う必要があります

そこで店舗で働く従業員に多いのが「早出」「遅出」の「シフト勤務」と呼ばれるものです。前述のケースで例えると「午前10時から午後7時まで」が「早出」、「正午から午後9時まで」が「遅出」として設定し、勤務カレンダーで勤務日ごとに「早出」「遅出」を設定するというものです。これを設定どおりに勤務すれば「営業時間」と「労働時間」の線引きができたと言えます。しかし、これが実は「難しい」というのが実態です。

大手の小売業、サービス業などであればある程度の人員がいますから「シフト勤務」の厳格な実行は出来るのですが、規模が小さい場合や顧客の滞留が予測不可能な小規模飲食店の場合はそうもいきません。

「お客さんがまだ店内にいるから」「忙しいから」「人が足りないから」などの理由で「労働時間」を超過して「営業時間」どおりに勤務させてしまいがちになります。しかし、これを見過ごせば従業員が疲弊し、退職といった流出を招きかねません。そうならないためにも規模の小さい店舗こそ、あえて「労働時間」の厳格な管理を使用者が心掛ける他ありません。

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