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No.257話:「福利厚生の充実」は「一番最後」の課題です。

「少ない賃金にも関わらず、従業員には連日の残業や休日出勤に頑張ってもらっている。それに報いるためにリゾート施設と契約して、従業員が格安に使えるようにしている」あるいは「社内にジム施設を作って仕事の後に無料で使えるようにしている」「休憩室にベッドルームを作って、仮眠が取れるようにしている」など「福利厚生の充実」をアピールする経営者のお話を伺うことがあります。

経営者が「福利厚生の充実」に取り組むことは大変素晴らしいことだと思います。従業員も必ず喜んでくれますから、経営者には「福利厚生の充実」に取り組めることを誉れに感じていることでしょう。労務コンサルタントの立場からも支持したいと思いますが、前提条件があります。それは会社が従業員に対してまずもって、労働契約における労働条件を遵守していることです。

労働条件の遵守というと少々、大げさに聞こえるかもしれませんが、要するに「終業時間が来たら仕事を終えて、帰宅の途につけること」「不測の事態が生じて終業時間を超えて時間外労働、あるいは休日出勤を命じる場合は、必要最低限かつ『36協定届』の上限時間、あるいは上限回数内に留めていること」という状態であることを言います。

さらには、「年次有給休暇は希望した日に概ね取得することが可能であること」という現代においては、極めて「当たり前」な労働者の権利行使が尊重されていることも前提条件と言えるでしょう。

冒頭のケースのように「従業員には連日の残業や休日出勤に頑張ってもらっている」状態で、いくら「福利厚生の充実」を誇られても従業員にすれば「福利厚生よりも残業や休日出勤を減らして欲しい」という不満につながりかねません。また、「少ない賃金にも関わらず」と思うのであれば「福利厚生に回す資金があるのなら、自分たちの賃金を上げてよ」と言われかねません。

「大幅な賃金引き上げができるほど会社に余裕がない」「人員が少ないため、現有メンバーに残業や休日出勤で頑張ってもらうほかない」という経営者の事情があることと思います。それゆえに「福利厚生の充実」で少しでも報いたいということだと思います。

しかしながら、前述のように従業員に何らかの「頑張り」をお願いしている状態で、会社が「福利厚生の充実」を図ることは、かえって「やぶ蛇」になりかねません。従って「福利厚生の充実」には慎重を期すべきと考えます。

頑張っている従業員にはまずもって「労働契約(労働条件)の遵守」で一刻も早く報いることです。そして、経営的なチャンスがあれば同業の水準を見据えて、少しでも「賃金引上げ」に取り組むことです。何度も申し上げますが「福利厚生の充実」は「一番最後」でいいと思いますよ。

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