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No.262話:あなたが持つ「常識」を疑ってみてください。

「定時に出社して、まともな仕事ができるわけがない。少しでも早く出社して仕事の準備をしておくべきだ」「会社が大変な時なのだから、進んで残業して当然だ」「会社がしっかり教育訓練して、やっと一人前の仕事ができるようになったのに、転職するなんて非常識だ」これらは、経営者からいただく嘆きの一つです。要するにこれらは最近の従業員の「常識」を疑う声ということです。では、最近の従業員の労働に対する姿勢は本当に「非常識」なのでしょうか。

確かに年配の経営者が若かりし頃の、かつての日本社会では「終身雇用」が一般的であり、企業への「忠誠心」が高く評価され、長時間労働もいとわない姿勢が美徳とされていました。また、勤続年数が長ければ自然と昇進し、給与も上がるという「年功序列」が一般的でした。当時は「プライベートより仕事が優先」という風潮であり、「アフターファイブ(これも古い言葉ですが)」の飲み会や休日出勤は、人間関係構築や評価のために重要であるというのが「常識」でした。

仕事においても「上司の指示は絶対」であり、逆らうことは論外で異議を唱えて一度上司に睨まれたりすれば、一生「冷や飯を喰う」すなわち閑職に追いやられることもありました。教育も「先輩の背中を見て覚えろ」が基本で、座学による論理的な研修もなく職場で正に「体で覚える」ほかはありませんでした。

ところが現在はどうでしょうか。ご存知のとおり現代の労働環境は大きく変化しています。どんなに歳を重ねた経営者であっても「昔も今も環境は全く変わっていない。同じだ」などと、うそぶく人はいないと思います。昔よりも「働く人の尊厳」が重視されています。コンプライアンス(法令順守)に対する意識の高まりは大きくなっています。

「ワークライフバランス」の尊重が求められる今の風潮において、終業時間間際になって「今日、悪いけど2時間ほど残業してくれる」と言われれば、「それ、早く言ってよ。今夜友達と映画に行く約束したし、予約もしたのに配慮がないよね」と従業員は憤慨して当然です。「会社には残業命令権があるんだ。いつ指示をしようと応じるのが当然だ」は通用しないのです。

また、現在の従業員はインターネットやSNSを通じて、年配者のころには知り得なかった労働に関する情報を数多く得ています。ともすれば、経営者以上に労働法に関する知識を熟知している可能性がありますから、法的に根拠がなく、間違った指示をすれば「それはできません」と正々堂々と拒絶されることもあり得ます。

いずれにしましても、100%とは言いませんが、年配者の「常識」の多くはもはや「常識」ではなくなっています。みなさんの若い時代の「常識」では「当然」と思われる行動や思考を、今の従業員に期待することをそろそろ改めてみてはいかがでしょうか。

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