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No.271話:「労働力」は取引き目線、市場目線で考えましょう。

いつもこのコラムで「雇用関係は契約関係と考えると、労務管理がしやすくなります」と説明していますね。では、雇用関係はどのように成立するかですが、これは「労働力」の取引きによって生じます。

すなわち、「商品の企画や設計ができる」という「労働力」を求めている企業側(買い手)に対して、「この条件(賃金や労働時間など)であれば、私の『労働力』を提供しますよ」と労働者(売り手)が取引き交渉に応じて、合意に至れば雇用関係が成立しますし、合意できなければ取引きは成立せず雇用関係は生じません。

景気が低迷し失業率が高く、求人数が少ないなど雇用情勢が悪化している場合は「買い手市場」で企業側が取引きにおいて有利になります。一方で失業率が低く人手不足の状態は「売り手市場」で労働者側が取引きにおいて有利です。現状はまさに後者の状態にあります。

なおかつ、昨今は「雇用の流動化の進展」により、雇用関係が成立してからも買い手と売り手の「労働力」の取引きは継続していると考えるべきです。「終身雇用」の時代のように一度購入した「労働力」は、購入時に成立した「条件(賃金や労働時間など)」のままでいいということにはなりません。売り手である労働者にとって、自分の「労働力」の買い手は市場にいくらでもあるという状態なのです。

言い換えれば、雇用関係成立時の「条件」に漫然としていれば、他の企業に買い取られる(ハイクラス転職される)リスクがあるということです。しかし、現状ではそのことに気が付いている企業が少ないように思います。では、どうすればいいのでしょうか。

まずもって、現在買い手側である企業が提供している「条件」を常に検証していくことです。具体的には「提供している条件は買い手(労働者)にとって、現在においてもメリットがあるものか」というものです。ここで間違って欲しくないのが「条件=賃金」という直線的、かつ単純な検証です。もちろん、賃金も重要条件ですが、それだけに留まると大きな判断ミスにつながります。

大切なことは「賃金」以外の「条件」です。労働時間の設定も然りですが、「楽しそうに働けているか」「人間関係は良好か」「成長を実感できているか」など、「エンゲージメント」の視点でもっと掘り下げることです。本人はもちろんのことですが、職場でハラスメントが横行しているようでは労働市場での競争どころの話ではありません。

いずれにしましても「労働力」を購入したときだけではなく、購入後も労働市場を意識して、競争相手である他の買い手に大切な「労働力」を奪われないように、常に売り手である労働者にとって「売った価値があるなあ」と感じる、魅力ある「条件」提供できることを心掛けましょう。

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