『人事労務戦略』構築専門のコンサルタント 株式会社サムライズ

0798-36-7188

無料メルマガ登録

今週のコラム、各種ご案内をお届け中です。ぜひ、ご登録ください。

登録解除

No.274話:「雇用契約を業務委託契約に」の落とし穴。

正社員であっても、パート・アルバイトであっても、一人の人材を雇入れることはその人だけではなく、その人材の家族を含めた生活や人生に影響を及ぼすことから、大きな責任を伴います。また、人材を雇入れることは企業にとって賃金のみならず、社会保険料などを含めて金銭負担が生じます。

また先年の「働き方改革」により労働基準法をはじめと法令の制約が強化されています。加えて、労働者の法律の知識もレベルアップしてきています。従いまして、企業として従来にも増して、いい加減な労務管理が許されなくなっています。

このような環境下において、一部の企業では人材を雇うことを止める、すなわち「雇用契約」を解消して、一部の従業員を一人の事業主として個別に仕事を依頼する「業務委託契約」に切り換えるところがあります。

従業員にとって「業務委託契約」は雇用されていたときよりも、「賃金以上の委託料がもらえる」「副業が自由にできて収入が増える」「納期を守れば時間を自由に使える」など、魅力を感じるようです。そのため、積極的に「業務委託契約」への切り替えを希望する従業員もいます。

そもそも「雇用契約」から「業務委託契約」への切り替えは、従業員が同意すれば全く問題はありません。(もちろん、従業員の本心に反する、会社側からの切り替えの強要は許されませんが)更には従業員が意図したように「業務委託契約」により、そのメリットを享受すれば「良いこと尽くめ」です。

ただし、「業務委託契約」は様々な落とし穴があることも事実です。委託元となった会社が委託先に対して従業員のときと同じように、「労働時間の管理をする」「仕事の進め方について細かな指示をする」などを行えば、いわゆる「偽装請負」とされ「雇用契約」関係にあるとみなされるリスクが生じます。(「雇用契約」関係が認められれば、当然のごとく労働基準法をはじめとする法律の制約を受けることになります。)

また、切り替え後の委託元と委託先の関係が、適正な「業務委託契約」であったとしても、弱い立場である委託先である個人、すなわち「フリーランス」を保護する法律である「フリーランス・事業者間取引適正化等法(2024年11月1日施行)の適用を受けることになります。

この法律では委託元(発注事業者)に「取引条件の明示」等のさまざまな義務が課せられています。従いまして、必ずしも「雇用契約」から「業務委託契約」への切り替えが、「バラ色の結果」になる訳ではありませんから、切り替えを検討される場合はメリットだけではなく、デメリットも含めて総合的に判断するようにしてください。

コラム一覧

無料メルマガ登録

今週のコラム、各種ご案内をお届け中です。ぜひ、ご登録ください。

登録解除