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No.276話:「労働時間」管理は「不就労時間」も厳格に

平成29年1月20日に「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(以下、ガイドライン)」が策定されてから8年が経過しました。ガイドラインには使用者が労働時間を把握する目的とともに、労働時間の考え方やどのようなものが労働時間となるのかが記載されています。

このガイドラインに基づき、現在に至るまで使用者は労働者の労働時間の把握の適正化が図られ、行政機関からもこのガイドラインに基づいた指導が各事業所に行われています。これにより、このガイドラインの目的である労働者の長時間労働の解消や、割増賃金の未払い問題の解決が格段に進んできています。

さて、このような状況は歓迎すべきことではありますが、労働時間の把握について「プラス軸」のみで考える風潮が出来上がってしまっているようにも思えます。事実、私のクライアントからの問い合わせも「作業着の着替え時間は労働時間に該当するのか」「始業時間前の職場の清掃時間は労働時間とすべきか」といった「労働時間としてプラスカウントすべきものとは何か」というものが多くなりました。

前述のものは「使用者の指揮命令下に置かれた時間」に該当すれば、当然に「労働時間」としてカウントすべきものです。所定労働時間以外であれば、通常の賃金に加えて賃金の支払い義務が生じるものになります。まさにガイドラインの目的通りに労働時間を「適正に把握している」ことになります。しかしながら、労働時間の把握とは「プラス軸」だけで足りていると言えるのでしょうか。

私は労働時間の把握とは「プラス軸」だけではないと考えています。すなわち「マイナス軸」の労働時間の把握も使用者に必要だということです。「マイナス軸」とは、遅刻、早退、欠勤だけではありません。「昼休憩の時間をオーバーして、午後の業務開始時間に遅れる」あるいは「お腹が痛いといって長時間トイレに駆け込むことが日常茶飯事である」といった場合も、「不就労時間」に該当します。(愛煙家の方には心苦しいのですが、「ちょっと一服してくる」といって、勤務時間中に度々職場を離れて喫煙所に行くことも同じということになります)

問題は使用者側が労働者の「不就労時間」を「見過ごしている」ということです。確かに「突然の体調不良でトイレに駆け込む」というものであれば、「少しの時間なので、大目に見る」ということでよろしいかと思います。ただし、「毎日のようにトイレで長居する」ようでは見過ごしてはならないと思います。

「使用者の指揮命令下に置かれた時間は労働時間だから、1分であってもカウントするべきだ」は間違いではありません。しかし、明確に「働いていない時間」は厳格に把握し、目に余るようであれば「所定労働時間分はしっかり働いてください」と注意指導することもお忘れなく。

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