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No.280話:「解雇」には「覚悟」が不可欠です。

「虚偽報告により、会社の金品を不当に盗取していた従業員がいたので、就業規則に則って解雇しようと思う。ただし、できれば穏便に解決するために、まずは自主退職を勧めようと思う」これは先日、あるクライアントからいただいた相談内容です。会社が「解雇相当」と考える従業員を、いきなり「解雇」せずに話し合って、本人の名誉や将来を考慮して、自主的に身を引いてもらうように「説得する」ことは、労務管理上はよくある事例ではあります。

服務規律違反を犯した従業員が、自主退職を選択して無事解決すればよいのですが、中には「自主退職はしない。解雇するならしてみろ。不当解雇で訴えてやる」と、抵抗してくる従業員もいます。穏便な解決を図るべく自主退職を提案したにもかかわらず、その提案を拒絶されれば、会社は本来正々堂々と「解雇」を選択すればいいだけです。

しかし、自主退職を拒否されて、「自主退職を拒否された。どうしよう?」と頭を抱えてしまう会社が実は多いのです。前述の通り、自主退職を拒否されれば「解雇」を選択するのが当然の成り行きです。しかし、「解雇をすれば、訴訟などのトラブルになる。その対応に時間や労力を費やすことになれば面倒だ」と、「解雇」を選択せずに自主退職を勧めることを繰り返してしまいます。

事情は分かるのですが、これは極めてリスキーな行為です。不必要に退職勧奨を繰り返すと「パワーハラスメントを受けた」と逆に訴えられかねません。あるいは従業員が「会社は解雇したくないようだ。自分が自主退職することを強く望んでいる。では、少し条件を付けて、それを受け入れたら退職届を書いてもいいと提案してみるか」と足元を見てくる可能性があります。

もともと服務規律を犯した従業員に非があるのに、なぜ会社が逆に訴えられる、あるいは足元を見られて条件を呑まなければならないのでしょうか。このような事態に陥るようでは、本末転倒と言わざるを得ませんし、労務管理においては最悪の事態です。

そのようにならないために、クライアントにはリスクを説明した上で「退職勧奨に応じないのであれば、躊躇なく解雇手続きを進めましょう」と提案しています。しかし、それでも多くのクライアントは「解雇しても、訴訟されないようにできますか」と、難しいとわかっていても本音の「不安」を口にします。

訴訟に至ったときに、会社の「解雇」が正当であると判断される可能性について説明できても、残念ながら「解雇」しても訴訟にならないことを100%保証することはできません。「解雇」には訴訟といったトラブルが伴うものです。大切なことは、そのようなトラブルを「覚悟」することを「当然」と考えることです。「覚悟」がなければ他人を雇って会社経営をすることはできませんよ。

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