2025.12.10

学生時代のアルバイト勤務先は別として、学校を卒業して社会人として初めて勤めた会社は、その後に転職をしてもしなくても、その人の社会人人生に大きな影響を与えます。最初の会社での出来事と経験は、その人にとっての労働者として「行動規範」となります。他の会社に転職したとしても、最初の会社で培われた「行動規範」の基づいて、仕事に従事することになるのですから影響が大きくなって当然です。

例えば、最初の会社が遅刻に対して寛容な風土であれば、次の会社でも遅刻を容易にやってしまう可能性があります。また、許可されていない自動車通勤について「見て見ぬふり」をしている会社であれば、次の会社でも同様に安易に許可のない自動車通勤をしてしまうことになります。

あるいは経費精算にルーズで、私的な支出に関する領収書もスルーしている会社で社会人生活をスタートすると、次の会社が厳格な経費処理をする会社であれば「何だこの会社は。細かいことまでチェックしてきて。いいじゃないか、この程度の金額なんだから大目にみれば」と理不尽な不満を次の会社に抱くことになりかねません。

また、後輩にはパワハラまがいに指導教育することが当たり前となっている会社に育てば、転職先でもその人材が同様の行為を行うかもしれません。立場の弱い取引先には「高圧的に接するもの」「タカって当然」の風土で育てば、転職先でも同じように接してしまうかもしれません。

いずれにしても、最初の会社の環境から端を発した、その後の社会人としての行動が懲戒処分や解雇などに至れば、その人材にとって不幸な運命を招きかねなくなります。もちろんのことながら、転職先の環境によって「最初の会社の仕事の進め方は間違っていた。これからは正しい行動を始めよう」と気づいて、自ら行動を改めることができれば別ですが。

しかし、一方でその人材が「自分の行動を改めなくては」と気づくときに感じることは、「最初の会社の環境は良くなかった」ということです。そのようにネガティブに最初の会社である、あなたの会社が思われるのは不名誉なことではないでしょうか。

できれば、「最初の会社で正しい仕事の向き合い方を教えていただいたから、転職先でも困ることはない」「最初の会社で同僚や取引先との接し方を叩きこまれたから、他の会社に勤めても、同僚や取引先から良好な関係を気づけて、協力をしてもらえている」と感謝してもらえる方が断然、その人にもあなたの会社にも良いに決まっています。まずは「わが社での経験なんて、その人材の社会人人生に大した影響がない」と思うことから改めてみてはいかがでしょうか。

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