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No.304話:「ライフ」重視の従業員へ説く、真のワークライフバランスとは

「ワークライフバランス」という言葉が定着して久しい昨今、経営者の皆様からは「ライフ(私生活)ばかりを優先し、ワーク(仕事)への責任感が希薄な従業員をどう指導すべきか」という切実な相談を多くいただきます。特に、権利意識のみが先行し、業務の質やチームへの貢献が後回しになってしまう社員に対し、どのように「仕事と私生活の調和」を教育していくべきでしょうか。

まず、経営者が陥りやすい罠は「仕事か、プライベートか」という「二者択一の対立構造」で話をしてしまうことです。「私生活を大事にするのはいいが、仕事もやれ」という言い方では、従業員に価値観を否定されたような印象を与え、心理的リアリティを損なわせてしまいます。

そうならないためにも、労務管理の観点からは次の2点を前提に置くことが不可欠です。一つ目は「『ライフ』の充実は『ワーク』の成果に依存していること」です。すなわち、給与や賞与、そして自身のキャリア形成は、会社が提供する価値(利益)の分配であり、仕事での成果がなければ私生活の安定も持続しないという経済的・論理的なつながりを再認識させる必要があります。

二つ目は「権利と義務の相関性」です。「ワークライフバランス」は、会社が一方的に与える福利厚生ではなく、限られた時間内で最大のパフォーマンスを発揮するという「プロフェッショナルとしての自己管理」がセットになっているということです。では、具体的にはどのような教育指導を行えばいいでしょうか。

ある中小企業では、ライフ優先型の若手従業員に対し、以下のようなステップで意識改革に成功しました。ステップ1として「時間単価の意識(コスト意識の共有)」です。「残業をしたくない」という希望に対し、単に「ダメだ」と言うのではなく、「定時で帰るためには、あなたの1時間あたりの生産性をあと〇%高める必要がある。そのためのスキルアップを会社は支援する」と、定時退社を「成果の証」として位置づけました。

ステップ2として「チームへの影響の可視化」に取り組みました。「自分が休むのは自由」と考える従業員には、業務の進捗表を共有し、一人の遅れが他者の「ライフ」を削っている事実を伝えました。自分のライフを守ることは、仲間のライフを守ることでもあるという連帯責任感を醸成したのです。

そして、ステップ3として「キャリアビジョンのすり合わせ」の実施です。「今はライフ重視でも、5年後、10年後にどのようなスキルを持っていたいか」を面談で深掘りします。目先の「楽」が将来の「選択肢の欠如」につながるリスクを、経営者の経験から優しく、かつ厳しく伝えることが、真の親切ということですね。

ワークライフバランスの「バランス」とは、天秤のようにどちらかが上がればどちらかが下がるものではなく、自転車の両輪のようなものです。「ライフを充実させたいなら、ワークの質を高めて会社に貢献してほしい。それがあなたの市場価値を高め、結果としてより自由なライフを手に入れる近道だ」と、従業員の人生そのものを応援するスタンスを維持しつつ、「プロとしての規律」を求めること。これこそが現代の経営者に求められる労務マネジメントの極意と言えるのではないでしょうか。

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