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No.316話:若い人材の求める「タイパ」を「手抜き」と思わないこと
2026.07.15
「最近の若者は効率ばかり求めて、地道に泥臭く働くことを嫌う」「タイパ(タイムパフォーマンス)を気にするのは、楽をして手抜きをしたいからではないか」。シニア世代の経営者や管理職の方々から、このような嘆きや戸惑いの声を耳にすることが増えました。
しかし、これは大きな誤解です。彼らが求める「効率化」の裏にある本当の意図は、決して怠慢ではありません。むしろ、「時間を無駄にしたくない」「早く一人前になりたい」という、強い「成長への焦り」の現れではないでしょうか。
Z世代は、生まれた時からインターネットやスマートフォンが身近にあり、あらゆる情報に瞬時にアクセスできる環境で育ちました。また、終身雇用の崩壊や激変する社会情勢を目の当たりにしてきたため、
「会社が一生を守ってくれるわけではない。どこでも通用するスキルを早く身に付けなければ」という危機感を人一倍強く抱いています。
彼らにとって、目的の見えない雑務や、慣習だけで続く非効率な長時間労働は、単に「時間を奪われ、自分の成長が停滞するリスク」と映ります。つまり、
彼らが希求する「タイパ」とは、「限られた時間の中で、最大限の成果を出し、自己成長につなげたい」という、非常に前向きな労働意欲の表れなのです。
かつては「人より長く机に向かうこと」や「過酷な環境に耐えること」が美徳とされた時代もありました。しかし、Z世代に「この会社で働きたい」「もう少し働き続けたい」と思ってもらうためには、シニア世代の経営者が次のような視点で「評価の物差し」を切り替える必要があります。
〇「タイパ」を組織の武器にする
業務のDX化や無駄な会議の削減など、若手が提案する「効率化」を頭ごなしに否定せず、まずは耳を傾けてみてください。生産性を高めようとする彼らの姿勢を認め、巻き込んでいくことで、会社全体の労働環境改善へとつながります。
〇「時間」ではなく「成果とプロセス」を評価する
長く働いているから評価するのではなく、短時間で高い成果を出した人や、効率的な仕組みを作った人を正当に評価する仕組み(人事評価制度)を整えます。
〇「この業務がどう成長につながるか」を言語化する
一見、地味に見える基礎的な業務であっても、それが将来どのようなキャリアやスキルに結びつくのか、経営者や上司が「意味」を丁寧に説明することが重要です。目的が納得できれば、彼らは驚くほどの集中力を発揮します。
「時は金なり(Time is money)」ということわざがありますが、今の若い人材にとって時間は金銭以上に「人生そのもの(Time is life)」です。彼らの「タイパ」精神を「手抜き」と切り捨てるか、「成長へのエネルギー」と捉えて活かすか、
それこそが深刻な人手不足時代において、中小企業が優秀な若者に選ばれ続けるための分水嶺となります。
「若者の焦りを可能性に変える」、そんな器の大きな経営を実践してみてはいかがでしょうか。
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