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No.321話:個性を尊重しつつ、組織の結束力を高めるには
2026.08.19
論語にある「君子は和して同ぜず」という言葉は、まさにこれからの労務管理とマネジメントが目指すべき理想像を示していると思います。
「主体性を持ち、他者と協調しながらも安易に同調しない」「多様な価値観を持ち、効率や個の尊重を重視する」
、このような特色を持つZ世代が労働市場の中核を担う今、従来の「滅私奉公」や「皆と同じであることを求める集団主義」は急速に求心力を失っています。
さらに、リモートワークと出社を組み合わせた「ハイブリッド型ワークスタイル」の普及は、物理的な労働時間の管理だけでなく、「見えない場所で動く従業員のエンゲージメントをどう維持するか」という新たな課題を突きつけました。では、個の多様性を認めつつ、組織としての一体感や生産性を高めるには、どのような「落としどころ」を探るべきでしょうか。
第一のポイントは、「拘束」から「承認」への労務管理のシフトです。
時間や場所で従業員を縛る従来のスタイルから脱却し、成果やプロセスへの「納得感ある評価」と「多様な働き方の制度化」を進めることが求められます。特にZ世代は、自身の貢献がどのように評価されているかという透明性を極めて重視します。成果だけでなく個の役割を明文化し、柔軟な勤務制度(フレックスタイムなど)を整備することで、「個人のライフスタイルが尊重されている」という価値を提供することが不可欠です。
第二に、ハイブリッド環境における「共通ゴールの明確化と浸透」です。
個性を尊重することと、組織がバラバラになることは紙一重です。ここで重要となるのが、「何のために集まっているのか」という目的やミッションを共有することです。「同(=同じ価値観や行動を強要すること)」を求めない代わりに、「和(=同じ目的に向かって調和すること)」の基準を明確にします。共通のゴールさえブレなければ、そこに至るプロセスやアプローチにおける個性の発揮は自由であってよいということです。
第三に、従業員の心理的安全性を担保する「コミュニケーション戦略」の確立です。
ハイブリッドワークでは偶発的な会話が減り、認識のずれが生じやすくなります。定期的な1on1ミーティングを通じて個人のキャリア志向や心理状態を把握するとともに、個の意見が頭ごなしに否定されない場を作ることが重要です。同調圧力を排除し、「異論も含めて発言できる」環境こそが、Z世代の主体的な貢献意欲を引き出します。
かつて日本の労務管理は、共通の枠組みに個を当てはめる「同」の集団主義によって成長を支えてきました。しかし、変化が激しく予測不能な時代において組織の強みとなるのは、異質な個がもたらす多様な視点とイノベーションです。
「制度という骨組みで柔軟性を担保し、組織としての共通の目的を軸にしてチームを束ねる」「個の価値観に寄り添いながらも、共通の目的に向かって協奏する」
、すなわち「和して同ぜず」の組織づくりこそが、これからの時代に選ばれる企業であり続けるための確かな解ではないでしょうか。
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