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No.322話:「環境の変化」と「意識の変化」が同時に起こる時代の労務管理とは

時代の変化とともに、企業の労務管理を取り巻く環境と労働者の意識は、この10年で著しい変容を遂げ、現在は「働き方の柔軟化」と「個人の自律」に対応した取り組みが進んでいます。「副業・兼業の解禁・推奨」や「テレワークの定着」はその筆頭です。さらに、離職防止や生産性向上を目指した「エンゲージメント」を重視した対応も、企業にとって不可欠な経営課題となりました。

一方で、労働者側の意識も大きく変化しています。労働市場における「雇用の流動性」が高まり、「終身雇用」といった一つの社に依存しないキャリア観が浸透しました。また、ChatGPTをはじめとする「生成AI」の普及により、労働者が法知識や権利主張のノウハウを容易に取得できるようになりました。結果として、労働者からの企業に対する「労働関連法の遵守に関する要請」や「労働の対価への正当な評価の要望」が、以前にも増して精緻かつ迅速に行われるケースが増加しています。

こうした「環境の変化」と「意識の変化」が同時に起こる時代において、事業主はどのように労務管理の舵を取るべきかについて、以下のような提言をしたいと思います。

 

〇「管理」から「自律の支援と信頼構築」へのシフト

副業やテレワークの運用において、時間で拘束する従来型の管理は限界を迎えています。必要なのは成果評価基準の明確化であり、情報漏洩防止や心身の健康に根差した長時間労働回避を目的とした、最低限の服務ルールの策定です。過度な縛り付けではなく、自律的な働き方を認めつつ「相互の信頼関係」を築く姿勢により、労働者の高いエンゲージメントにつなげていくストーリーの構築です。

〇労働ルールの「透明化」と「整合性」の確保

労働者からの生成AIを活用した権利主張に対しては、根性論や曖昧な社内慣行は通用しません。就業規則や各種労使協定が最新の法令に適合しているか点検し、実態と乖離しない運用徹底が必須です。「労働者から指摘があって、見直す」のではなく、日頃から点検と検証を繰り返し、透明性の高い労務管理を常態化することが、最大のリスクヘッジとなります。

〇「選ばれる会社」になるための環境整備

雇用の流動化が進む中、優秀な人材の定着には、彼らに「ここで働く価値」を感じてもらう労働環境を整えることが最も有益な対策となります。そのためには、一律の待遇ではなく、多様な働き方を受容する柔軟性と、個人の成長を支援するための職場におけるコミュニケーションの充実が求められます。

 

いつの時代でも「環境の変化」は起こり得ます。確かに、現状の変化は「激変」に近いものかもしれません。しかしながら、その変化を「組織改革のチャンス」と捉えることで、企業の未来は開けてくるのではないでしょうか。「窮すれば変ず、変ずれば通ず」と言います。働く人と会社が共に成長できる環境を整えることで、これからの企業運営に新しい光が差してくると信じて邁進してまいりましょう。

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