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No.327話:「自由な働き方」を履き違えて現場が混乱していないですか

失恋した女子高生の主人公が、授業中に突然、叫びながら教室を飛び出します。それを目の前にした担任の先生が「(この学校は)そんなに自由か!」と憤って叫びます。ある恋愛コメディドラマのワンシーンですが、先生に断りもなく、突然授業中に教室を飛び出して良い訳はありません。これは会社であっても同じです。

「上司に断りもなく、会社を早退する」というと極端ですが、「この日と、この日は予定があるので、残業はしませんから」「火曜日は子どもの塾の送り迎えがあるので、早番のシフトにします」など、会社(上司)に許可もなく、また同僚を無視して、自分の都合を最優先することは、本来許されることではありません。

従業員の自主性を尊重した「自由な働き方」を推進される姿勢は大変素晴らしいものです。しかし、「自由」の履き違えによって現場が混乱し、組織のコントロールが効かなくなるケースが後を絶ちません。

昨今、働き方改革やワークライフバランスの観点から「自由」や「自主性」を掲げる企業が増加しています。従業員のモチベーション向上や人材確保において非常に強力なスローガンですが、労働法規と労務管理の観点から、絶対に忘れてはならない原則があります。それは、労働契約の本質とは「労働者の時間的拘束と、雇用の保障・対価の支払いが対になっていること」です。

前述のドラマのように、授業中に黙って教室を飛び出す生徒を学校が容認しないのと同様に、企業組織においても「上司への報連相なしの早退」はもちろんのこと、事前調整や協議のない「自分都合を最優先したシフト決定や残業拒否」は本来許されるものではありません。会社は個人の都合を無条件に受け入れるサロンやサークルではないのです。

「従業員に自由に働いてもらいたい」と語る経営者様の中には、本音では「繁忙期に必要な要員が確保できない」「現場の負担が一部の真面目な社員に偏っている」と頭を抱えている方が少なくありません。これでは自主性を尊重しているのではなく、経営側が管理責任を放棄(放置)しているに過ぎません。

本来、企業における「自由」や「自主性」は、徹底された「自己管理」と、組織のルールを守る「自律」があって初めて成り立ちます。自己管理が行き届かない自由は、単なる「勝手気まま」「わがまま」であり、チームの規律を破壊し、事業運営に重大な支障を及ぼします。あえて申し上げたいのは、「自由な働き方を提供する企業ほど、厳格なルールと適正な管理体制が必要不可欠である」ということです。

たとえば、制度としてフレックスタイム制やシフト自由制を導入する場合であっても、以下の基本を徹底することです。

  1. 業務上の必要性に基づく指揮命令権の明確化(最終決定権は会社にあること)

  2. 申請・承認プロセスのルール化(事前の申告・協議を義務付けること)

  3. 権利と義務の周知徹底(自由には責任と相互配慮が伴うことの教育)

いずれにせよ、必要な管理を怠った結果生じる「業務の遅延」や「現場の疲弊」の責任は、わがままに振る舞う従業員だけでなく、ルールを曖昧にしたまま放置した経営側にあります。「優しさ」と「甘やかし」は違います。貴社の事業運営を守り、真面目に働く他の従業員を守るためにも、今一度自社の「自由」の運用を見直し、適切な労務管理の綱を締め直してみてはいかがでしょうか。

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