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No.332話:労務事務の遅滞は会社経営の停滞と考えましょう。
2026.11.04
入社手続きの書類提出、勤怠システムの打刻補正、人事考課表の記入、年末調整の入力作業。経営者の皆様、自社の現場でこれらの提出期限が守られず、労務担当者が毎回のように督促に追われてはいないでしょうか。
「本業が忙しいのだから多少の遅れは仕方ない」「営業活動や顧客対応を優先すべきだ」といった空気が社内に漂っているとすれば、それは極めて危険なサインです。確かに、従業員に提出や入力を求める手続きは、一見すると「本業以外の雑務」に見えるかもしれません。しかし、
その遅滞がもたらす害悪は、単なる「事務の滞り」にとどまらないのです。
〇「たかが労務事務の遅延じゃないか」が引き起こす甚大な社内損失
労務事務の遅延は、社内に目に見えない膨大なコストとリスクを発生させます。第一に、「労務担当者の業務負担と残業時間の増大」です。書類が期日通りに集まらない場合、担当者は個別のアラート、電話やメールでの督促、さらには入力不備の個別修正といった非生産的な追いつき作業に追われます。
この余計な労務コストは、本来であれば会社の生産性向上や制度設計に充てられるべきリソースを奪う、明確な「会社の損失」です。
第二には、「法令違反やトラブルの低減機会の喪失」です。勤怠打刻の不備や補正の放置は、未払い残業代リスクや36協定違反の見過ごしにつながります。また、年末調整や社会保険手続きの遅れは、従業員本人の不利益に直結するだけでなく、行政からの是正指導や社会的信用の失墜をも招きかねません。
〇「督促することに気後れする」という管理職の考え方を変えること
多くの企業でこの問題が放置される背景には、現場の上司や労務責任者の「意識の壁」があります。「本来業務で成果を出してくれているから強く言いにくい」「労務手続きくらいで口うるさく言いたくない」という気後れです。
しかし、経営者として明確に理解させるべきは、「全社的なルールを守らせ、労務管理を正常に機能させることも上司・責任者の重要な責務である」という点です。労務手続きの軽視を放置することは、組織の規律そのものを緩めることに他なりません。
ルールを軽視する風土は、やがて本業の品質管理やコンプライアンス意識の低下へと確実に波及します。
〇成長企業へ脱皮するための経営理念としての徹底
強い組織、成長し続ける企業ほど、こうした人事総務部門のようなバックオフィスの基盤が揺らぎません。
期日を守る、正確な情報を入力する、手続きの重要性を理解するという基本的なルールの徹底こそが、強固なガバナンスと質の高い組織風土を形成するからです。そのような組織風土の形成につながるためには、次のような施策を講じることで社内意識の改革を進めることです。
経営メッセージとしての発信
:「労務事務の期日遵守は会社のコンプライアンスと生産性の基盤である」旨を、経営者自らの言葉で全社へ宣言する。
管理職の評価項目への組込み
: 部署全体の提出率や期日遵守状況を、現場管理職のマネジメント評価指標の一つとして位置づける。
業務プロセスとシステムの見直し
:提出期日や手順をわかりやすく可視化し、入力負担そのものを減らすツール整備を並行して行う。
いずれにしましても、「労務事務だから少々遅れても多めに見るしかない」という「甘い」妥協を捨て、全社で期日遵守・正確性を追求すること。それこそが、会社を守り、持続的な成長を実現するための不可欠なステップであると認識して下さい。
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